[05] Friday 公園でピクニック


「水、飲むだろ?」
「うん!飲む〜」

腰にタオルを巻いただけの格好で冷蔵庫からミネラルウォーター
を持って戻ってきた笑太君を見て笑ったら、不思議そうな顔を
された。

「何だよ」
「お風呂上がりみたい」
「お前が裸で歩き回るなって云うからだろ」

ふてくされた様な返事がまた可笑しくて、笑いが止まらない。

「だって目の部屋で誰が見てるか解らないんだもん」

ベッドの上でタオルケットを腰の上に掛けただけでゴロゴロしている
僕も、ひとの事は云えない格好なんだけどね。
笑太君が腰掛けるとベッドが小さく軋んで、お尻の後ろへ手を突く
とマットが沈んで身体が傾いだ。

「このまま飲む?それとも口移し?」

一気に半分くらい飲んだペットボトルを僕の目の前でゆらゆらと
揺らして真面目な表情で訊いてきた。

「そのままで」
「即答かよ!?」

グイッとペットボトルを煽ると水を口に含み、手を押さえ付けられて
結局口移しで飲まされる。

「もう一口要る?」
「水はいい。ありがと」
「水 “ は ” ?」

意味有り気な笑みを浮かべた顔もいやらしく感じなくてカッコイイと
思うのは、好きな人、だからかな。

「水抜きで、キスし。。。」

云い終える前に重ねられてきた唇に応えて、舌を吸って絡める。

「笑太君、ビールも冷やしてあるよ」

呆れるぐらい長い時間くちづけを交わした後で一息ついて、また
ミネラルウォーターを飲んでいる後ろ姿に話し掛ける。

「うん。見た」

冷蔵庫のいつもの位置に入れてあるから、先刻冷蔵庫から水の
ペットボトルを取って来た時に見えたのだろう。

「でも今日は呑まない。もう遅いし、明日起きれなくなるから」

本当に珍しいことなのだが今日と明日は2連休。
特に予定があった訳ではなくて、2人共忙しくてほとんど使わない
から溜ってゆくばかりの有給休暇を少し落ち着いているこの時期に
少しは消化しとけ!との、五十嵐課長の配慮。

「明日もお休みだよ。寝坊してもいいんじゃない?」

振り返った笑太君は、何云ってるんだ?とでも云いたげな表情。

「今日雨でどこへも行けなかった代わりに明日天気が良かったら
公園でピクニックしようよ、って云ってたのは誰だよ?」

驚いて、言葉を失って見詰め返していたら、頬を軽く叩かれた。

「自分で云ったこと覚えてねぇのかよ」

首を左右へ何回も振ってみせる。

「覚えてるけど。。。」
「“ けど ”?」

この、ちょっぴり怒っているような、不貞腐れているような顔も、
笑太君らしくて笑ってしまいそうになる。

「僕の話、意外とちゃんと聞いてくれてるんだね」

いつも別の事を考えているような、掴みどころの無い空気を出して
いる時も多いから、僕が一方的に振った話なんてほとんどが聞き
流されているのだろうと今の今まで思っていた。

「当たり前だ」

僕の頬をもう一度撫でるように軽く叩くと、笑太君は小さく笑った。


―End―
 


ひとつ前の話の続きで
日付が変わったぐらいの時間の話。
だから2人の云っている「明日」はもう
「今日」で金曜日のことになります。

B型清寿は話を聞いて欲しいけれど
相手が笑太なので諦めていて(笑)、
典型的AB型っぽい笑太は他人の話を
聞いていなさそうで聞いているし覚えている。
本編を読んでいてそんな感じがしたので。

昨日になった今日(木曜日)は
自分の発言のせいで天気が悪くなったと
云われたのをこっそり気にしており、
ピクニックへ行きたいと云われたのを
しっかり覚えていた笑太に清寿も惚れ直す
。。そんな感じの話ですしょうか?
←何故か疑問形(笑)
12/08/17Fri,


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