―THE INITIATIVE―


「身体だけが欲しいなら、キスなんてしなくていい。。。」

綺麗な紫色の瞳が、硬質な視線で私を射抜く。
確かに今お前を抱きながら、全く関係の無い事を考えていた。
それを気取られない自信があったのに、見抜かれていたことに
愕然とする。

「そんなこと。。。」
「三上さんお願い。ふたりの時は嘘をつかないで」

頬を挟んで持つと、伏せられた瞼の上に唇を寄せる。
顔の横に添えられた手に触れてきた指が、戸惑いを見せて
からそっと手首を握ってきた。

「今は、嘘なんかついてない」

貫いているもので奥を突くと、先刻放った白濁が音を立てて
溢れてきて、腿の内側を汚した。

「あぁ。。。っ!」

小さく歓喜の声を上げて、背中がぴくんっ、と跳ねる。

「そう感じたなら謝る」

手のひらの中で、小さな頭が左右に振られた。

「謝って欲しいんじゃない。今、僕だけを見て欲しいだけ」

長い睫毛が開かれて濡れた紫色の瞳が覗く。

「。。。大好き」

式部の紅い唇が、ゆっくりと言葉を形作る。
震える身体を気遣って繋がりを解こうとすると首に回された腕が
強くしがみついてきた。

「繋がっていたい。ずっと」

肩口に埋められた口元から、耳朶を撫でる掠れた声。

「キスは?されたくない?」

首筋に遊ばせた唇で囁きながら、熱く喘がせる。

「したい?」
「したい。式部、お前に」

微笑みを許可と解釈して唇を奪う。
舌と舌を絡ませると誘うように、腰が切なく揺れた。

「もう無理だろう?」
「僕は大丈夫。。。じゃないかもしれないけど、大丈夫」

笑顔につられて、笑ってしまう。

「どっちなんだ?」

離れるのを拒むように締め付けてくるのが答えなのか、
甘い吐息が返ってきた。

「お腹の中が熱くて、腰の感覚が無い」

額にくちづけると瞳を閉じて、独り言のように呟いた。

「でもまだここに。。。僕の中に貴方が居る」

下腹部にそっと手を当てて、こちらを見上げて笑う。
その姿が愛しくて、欲望がまた硬度を増してくる。

「でももっと貴方が欲しい」

上気した頬、濡れた瞳。

「もっともっと。。。欲しい」

媚態でも無く、計算も無く、純粋な感情が眩しい。
任務の時に見せる冷酷な顔とふたりだけの時の甘えた顔。

「最後の一滴まで中に、下さい」

最初はからかいか気まぐれか、私の気のせいかと思った。
本気だと知ったのは何回か食事をした後で、抱いて欲しい、と
云われた時だ。
あまりに必死でひたむきな表情に断りきれずに。。。
というのは口実で、己の欲望に忠実に一夜を共にした。


始まりからしてこの恋愛の主導権は式部にある。


「んっ。。。んん。。。っ、あ。ああ。。。っ」

律動に合わせて、背中に短く切られた爪が食い込む。

「三上さん。。。三上さん。。。っ」

藍色の髪を唇で掻き分けて、耳に舌を這わせる。

「尊人、だ」

数ヶ月に一度でも何度か肌を合わせていれば、どこをどうされると
悦いのか分かってくる。

「そ、んっ。。。呼ばれ。。。たいっ?」
「ああ。呼ばれたい」

角度を変えて快楽の点を擦るように突き上げる。
湿った音とぐちゃりとした感触と目元まで赤く染めた式部の表情(かお)
が官能的過ぎて。
鍛えた身体は締め付けがキツくて、気を抜くと先に達してしまいそうだ。

「あ。。。はぁっ、尊人。。。さんっ」

とろとろと先走りを溢す式部の中心を掴むと、切ない声が私を呼んだ。

「や。。。だめっ」

先端に爪を立てると、既に反り返る程に勃ち上がっていたそれが、
爆ぜそうになるくらい怒張した。

「ん。。。っ!!」

吐精して感じやすくなった身体の、一番深いところを求めるように
突き上げる。

「あぁ。。。たつ。。。とさん。。。もっと。。。もっと奥っ。。。」

足を高く抱え上げ、身体を重ねて。

「ね。。。離れられないくらい。。。ひとつに。。。っ!」

唇を重ねて貪欲に舌を求め合って、これ以上隙間は無いくらいに
胸と胸を密着させる。

「。。。っ!」
「〜っ!」

精の全てを注ぎ込む。
愛しいと思う感情と共に。

涙でぐちゃぐちゃになった目元を指で拭き取って、顔の横に広がる髪を
掬い取る。

「気は済んだか?」

うっとりとしていた顔に、微笑みが浮んだ。

「も〜尊人さん、こういう時はね」

下から伸ばされてきた手が、滑るように頬を撫でた。

「愛してる、って云ってくれるだけでいいんだよ」

完全に立場が逆転していることに、本人だけは気付いていない。

「愛してる」
「良く出来ました」

まだ涙で潤んでいる瞳を上から真っ直ぐ見下ろして。
その手首を取り、手のひらの中央にくちづけた。


―The end―






P.S.
いただいたリクエストは。。
『男盛りの三上さんにめちゃくちゃに
されてしまう式部』だったような。。
しかし完成したのは。。
『清寿にめろめろな尊人さん』の話。

第一稿ではもっと三上さん
言葉責め鬼畜系だったんですが
あまりに痛いので書き直したら
こんなことに。。

すっ、すみませんっっ!!!
全力で土下座←
10/02/11Thu.


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