―Fall into Temptation―


「そんなの、着けねぇよ」
さらり、と答えた総隊長の顔を、呆然と見上げてしまった。
「え。。。マジ?」
なんでそんな事訊くんだよ?という表情(かお)で、見返されてしまった。
「基本、中出しだから」
照れることも無く、整った顔でごく普通のコトを話すみたいに、相当
キワドイ事をさらりと云ってのける。
「その方があいつ喜ぶし。っつ〜か、着けると嫌がるしさ」
む〜。。。と、こっちが唸るしかなかった。
「でも、さ。ヤバくないの?」
「まぁな。ヤバいとは思うけどさ、俺らどうせ長生きなんて出来ないから。
今が大事」
マジですか?と訊き返したところで同じ返事が返ってきそうなので、
もう一度、むむ〜。。。と唸ってみる。
「柏原、これも清寿には内緒な。こんなコト話したって分かったらすっげー
怒られそうだから」
そりゃあ怒られるでしょう。
いくら男同士の雑談だっていっても、自分の事が度々話題に出てる
なんてバレたら。しかもエロ話のネタになってるだなんて。。。
怒る側の気持ちの方が良〜く分かる。
小さく噴き出してしまったら、思いっきり睨まれた。
「了解だってば。副隊長を怒らせるなんてそんな怖ろしいコト、したく
アリマセン」
顎を少し上げて見下すように俺を見て、総隊長はドアの方へと踵を
返した。
「どこ行く気?今って待機中なんじゃないの?」
「余計なコトはいいから早く死刑囚見付けろって。地下に行って
ブッ放してくるから、その間によろしく頼むよ」
今追っているのは連続婦女暴行殺人犯。
女性を拉致って暴行した後に殺してバラバラにして捨てる、という犯行
を繰り返しているケダモノみたいなヤツ。
逃げ足がやたら速くて、ここ数日、追いつけないままでいる。
「何イライラしてんの?」
表面上穏やかだけど、長い付き合いなのでイラついていることくらい、
そんなの今朝顔を見た時すぐに分かった。
「あんっ?イライラなんてしてねぇよ。。。」
。。。あ、なんか理由が分かってしまった。
「もしかして最近、副隊長んとこ泊まりに行ってないの?」
総隊長の顔に朱が走る。
「あ〜あソウタイチョ、溜まってんだぁ」
「っさい!お前はいっっつも一言余計なんだよ!」
大股でどかどか部屋を横切って力任せに叩きつけるようにドアを閉めて、
総隊長が出ていった。

「柏原班長、なんか大きな音したけど。。。?」
入れ違いに副隊長が入ってきた。
あんな話をしていた直後なのでバツが悪くて、PC画面に集中している
フリをする。
「あれ?笑太君は?」
「地下行くって」
「また射撃訓練場かぁ。。。ホント撃つの好きなんだよね」
コツコツと背後から近付いてくる足音がして、俺の肩にふわりと髪の毛が
掛かかる。
「で、見付かった?」
総隊長が前に、これでオチた、と話してた甘い香りが香る。
髪の毛のニオイらしいけど、ホント、いいニオイで。。。
「いや。まだ」
キレイな顔が、俺の顔の真横に来た。
「そっか。。。こんなに待機が続くと身体鈍っちゃうよ」
そんな伏目がちな、色っぽい表情(かお)をして耳元囁かれたら、決して
そんな意味じゃないって分かっていても勘違いしそうになる。
心臓バクバク。
耳の奥でドクドク、激しくなった鼓動の音が聞こえている。
俺。。。なんかオカシクなってる。。。?
「ねぇ副隊長、今夜ヒマ?」
声が裏返りそうになって、落ち着け!と、自分で自分に言い聞かせる。
「うん。ヒマ。何で?」
くるん、と目を開いてこちらを見詰める。その顔に、弱い。
「たまには呑みにでも行かない?」
にこっ、と、満面の笑み。これにも弱い。。。
「あ、じゃあうちで呑まない?美味しいワインがあるんだけど呑みかけで。。。
早く呑みきっちゃいたいんだけど1人じゃ呑まないし、良かったらどうかな?
って」
「総隊長は?」
「うん。。。ここのところちょっと。。。来れないみたいなんだよね」
知っていて訊く、俺ってヤな奴。
でも副隊長のこの、ちょっと困った顔って、いい。
俺って流されやすいのかも。。。でも、それならそれで。
誘ってきたのは副隊長だし、なんてズルい解釈をする。
意地で情報を集めまくりその日のうちに死刑囚の居場所を突き止めて、
第一部隊も無事に任務を完了。
やれば出来るんだよな!と五十嵐課長にも総隊長にも褒められた
けれど。。。内心ちょっと複雑だった。

「柏原班長。。。?えっ?。。。やだ。。。っ」
甘い声に、理性が吹っ飛ぶ。
かなり沢山呑んで完全に酔っ払っていて、気が付いたら副隊長を
床に押し倒して唇を奪っていた。
拒まれるかと思ったけれど、思ったより抵抗されなくて、
上顎の裏を舌先でくすぐると、両腕が首に回されてきた。
昂りを押し当てると、擦り合わせるように腰の位置を変えてきた。
「柏原班長、酔ってるでしょ?」
「酔ってる。だから、したい」
即答して、再び唇を捕らえて、舌を深く差し込む。
それに答えるように、舌が絡ませられてきた。
「副隊長、酔ってないでしょ?」
「酔ってるって」
語尾上がりの、甘えたようにも聞こえる返事。
「ホントにいいの?あの。。。総隊長に怒られるとか」
「笑太君なんて関係ない。。。」
ほんのちょっっぴり掠れた、囁くような声。
紫の瞳が潤んでいて、いつもより全然色っぽい。
「班長がイヤじゃないなら、いいよ」
前に大酔っぱらいになった総隊長から聞いたことはあったけど。。。
声だけでイカされそうになってしまった。
ヤバいってば!!
そう思わないでも無かったけれど、いつの間にか2人とも裸になって
いて、しかもベッドの上に居た。
「ま、待って!俺、男のヒトとは初めてだから。。。」
艶かしい微笑みが綺麗な顔に浮かぶ。
「大丈夫。僕は初めてじゃないから」
「。。。やっぱり副隊長、酔ってる?」
「だからぁ〜さっきからそう云ってるじゃないっ」
顔色は普通。結構呑んでいるのに全然変わらないから、本当に
酔っているのかは不明。
「んっっ!」
別の事を考えているうちに、そっと俺自身を握られた。
舌先を立てるようにして先端や括れのところを舐められてからぐっと
奥まで飲み込まれて、思わず腰が浮く
「あ。。。あっ。。。っ」
我慢し切れず、温かく湿った口の中で達してしまった。
「うわっ、ごめんっ!吐き出してっ」
ごくん、とノドが鳴って、俺のが飲み下された。
咥えられたままのものに嚥下する振動が伝わり、下半身にまた、
疼くような、勃ちあがってくる感覚が生じる。
裏を根元から先まで舐め上げられて、今出したばかりなのにすぐに
硬くなってしまった。
「今度は僕を気持ち良くさせて。。。」
副隊長が四つん這いになる。
俺に見せ付けるようにして、しっとりと湿り気を帯びている後孔を
自分で解し出した。
その、細くて器用そうな指の動きに発情してしまう。
中を掻き混ぜるように動いている指先をねぶるように、臀の双丘を
押し広げて唾液で濡らした舌を伸ばす。
「え。。。そんなっ!初めてだって云ったクセに。。。」
逃げそうになる身体を押さえつけて、熟れたように真っ赤になって
いる粘膜に深く舌を差し込む。
する前はこんなところ舐めるの絶対に無理!って思ってたのに、
好きだと思えば結構出来るもんなんだな。。。
感じて悶える姿がまた綺麗で、我慢も限界。
「副隊長、中に、挿れたい」
返事を待つ余裕なんて無くて、充分に濡れているそこに先端を
押し込む。
「んんー!。。。あっ。。。あっ。。。ああっ。。。っ」
喘ぎ声がイイ。
それに襞が包み込み、締め付けてくる感じがスゴい。
自分で動かなくても、食いついてくるみたいで。
そういえば総隊長が、俺はオトコは清寿しか知らないけどあいつ
のは多分名器だと思うよって云っていたのを思い出してしまった。。。
「総隊長、ごめんっ!」
喘いでいる副隊長には聞こえないくらいのちっちゃな声でそう云うと、
あとは夢中になって腰を使い、副隊長がイッた直後に中で果てて、
抱き合ったままで朝まで眠ってしまった。。。

「で?しちゃったワケだ?」
冷静な口調が、余計にコワい。
「申し訳ないっ」
真っ青な目が冷ややかに見ていて、視線がイタい。
「ったく。。。んな事いちいち報告すんなっ」
ちっ、と総隊長が舌打ちをした。
「でもど〜せ目の部屋で撮られちゃってるから、後でバレると怖い
だろうなぁ〜って。。。反省シテマス」
怒鳴りつけられるのを覚悟して、ぎゅっと目を閉じる。
「まぁ。。。な。あいつを寂しくさせてるのは俺のせいだから。。。
けどな柏原、清寿は俺のモンだ。次手ぇ出したら命は無いと思っとけ」
予想外に落ち着いた口調だったのでおずおずと目を開けると、総隊長
は俺を上から睨みつけていた。
怒ってる?。。。だよなぁ。
「分かってるって!」
その金色に光るデザートイーグルで撃ち抜かれるのだけは。。。
犯罪者でも無いのにそんな最期はイヤだ。
「今の。。。絶対清寿に云うなよ!」
へ?
「こんなの、みっともねぇだろ。。。やきもちとか。。。」
頬を真っ赤に染めて、ぷいっ、と横を向いた。
もしかして怒ってるんじゃなくて。。。照れてる?
誰から見ても普段から独占欲丸出しで、今だって嫉妬してるのが
見え見えなのに。
なんかとっても可愛いんですけど。。。
笑ってしまったら、今度は本気で殴られそうになった。


―The end―






P.S.
小秋様へ。
お誕生日のお祝いと
24000HITのお礼の代わりに。
柏式。。です。

これは元々他サイト様への献上品で
リンクされていないとのご指摘と
もう一度読んでみたいというリクエストに
お応えしての公開となりました。
ちょっぴりおバカな柏原と笑太と、
いつになく大胆な清寿が恥ずかしいっ(涙
1年半以上前に書いた作品なもんで
かなり修正入れましたが、
ど〜にもならないもんはど〜にもならん!
って見本ですね。
こんなんでホントによろしいのでしょうか。。?
09/09/26Sat.再UP


Back