壊れていく

それは音も無く崩れていく幻想。


玩具の人形



「おい。清寿」
「何〜?笑太君?」
それはいつもと変わらない日。
いつもと変わらない君の声。
いつもと変わらない君の笑顔。
だけどそんな君を見るたびに心の片隅で何かが壊れる音が聞こえるんだ
だけど聞かない、聞こえないふりをして君に笑いかける


「お前はもう一人じゃない」

君は僕にそう言ってくれた。
だけど君と一緒にいるうちに僕は更に孤独を知った。例えどんなに一緒に居たくても、
例えどんなに一緒に星空を眺めても、例え何度身体を重ねたとしても、いずれは君は
必ず、彼の待つあの場所に帰ってしまう。
君にとって彼はたった一人の大切な人。
分かっていたはずなのに…僕は本当の意味では分かっていなかったのかもしれない

だけど…でも…今この腕に抱かれた、この瞬間だけは君の瞳に僕しか映っていない。
そのことに幸せを感じる…

だけど幸せな時間は無情にも過ぎ去っていく。
僕等は限られた時間しか逢瀬が許されない。
夢の時間は終わりを告げ、現実という名の闇が僕を包む。
再び逢うのは仕事場。
いつ死ぬか分からないこの仕事。
最期に見せた顔が笑顔であるように、笑っていなきゃ、そう思って君を送り出す。
だけど心の中では幼い僕が涙を流す

『また僕は一人ぼっち?』
暗闇で幼い僕はただ立ちすくんだまま。
一人になることを怖れたまま。

「それじゃ」
そう言いながら君は扉を開けた
「うん。…じゃぁ…」
そう言った瞬間視界が歪む。頬に伝う熱いもの。
「あれっ。何で僕、涙なんか流れてるんだろ。」
そう言いながら僕は必死で涙を流したまま笑顔を作ろうとする。

すると
「!笑太君!?」
彼の腕が僕を包み込む。

「涙を我慢するんじゃねぇ」そう彼は僕を抱きしめながら呟いた。

その言葉を聞いた瞬間、僕は自分の鳴咽を止めることすら出来ずに彼の腕の中で泣き
続けた。

決して一つにはなれない存在。
君と僕は決して一緒にはなれない。
だけど“人形”は限られた時間だけは自由なんだと
信じていてもいいですか?
叶わない願いだと思っていた。だけど…だけど…笑太君の腕の中では僕は人間になれる
んだ……

君とずっと一緒にいたい…
僕に人間らしさを与えてくれた人。

最期のその瞬間までずっと傍にいたいよ…





雅様より頂きました♪

。。と云うか。。

某所(笑)でナンパした上に
おねだりして書いて貰った
とか云う(汗
詩的で柔らかく、そして切ない
素敵な文章を書かれます。


これからも
頑張って作品書いてくださいね。

どうぞよろしくお願いします。


雅様HP“空の華



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