―Melts Like Chocolate―


「笑太君。ハイ、あ〜ん!」
「。。。もう食えねぇよ」
口を手で覆って、笑太君がうんざりした表情(かお)で云う。
「う〜ん。じゃ、口移しする?」
「無理!ニオイだけで吐きそう」
ぐっ!と唸って、口元を押さえたまま横を向いてしまった。
「膝枕してくれたら頑張って食べる、って甘えたクセに」
「俺はいいから。お前食っていいよ」
膝の上にある笑太君の、赤く染まった顔を見下ろして、
にっこりと笑って返す。
「じゃあ口移しで食べさせてくれる?」
眉間に刻まれた縦シワが、既に答えになっていた。
「やったら舌で押し返して俺に食わせる気だろ?」
「ご明察〜!やっぱ笑太君、頭いい」
けらけら笑う僕を実に嫌そうな表情で見上げて、溜め息
をひとつついた。
「本命チョコ、何個くらいあるかな?」
テーブルの上に出来たチョコの箱の山を、爪で弾く。
この中に混じっちゃうと悲しいな、と思ったから、僕からの
チョコは一日前。。。昨日の夜に渡してしまった。
「どうでもいいよ、そんなの」
そう云いながらも律儀にちゃんと全部受け取ってたから、
きっと勘違いしたコも居ると思う。
笑太君、自分がカッコいいって分かってないからなぁ。
「モテる男はツラいね」
僕の言葉に顔を顰めて、責めるような口調で云った。
「お前だって沢山貰ってたじゃないか」
「僕は本命っぽいコのはごめんなさいしたもん」
受け取って期待させるくらいなら、可能性が無いに等しい
なら受け取らない方が優しいと思う。
「俺そういうの、出来ねぇんだよな」
知ってるよ。そういう、僕に無いところが好きだから。
「清寿、さ」
「ん?」
人差し指をくいっくいっと曲げて呼ばれたから、顔の横の髪
を手で押さえながら顔を下ろす。
伸び上がるようにしてきた唇に応えて、唇を重ねた。
くちづけを交わしながら起き上がり、体勢を変えた笑太君
に、ソファの上で覆い被さられていた。
「妬いてる?」
「妬いてなんか。。。っ!」
首筋を強く吸われて、油断した隙に服を乱されていた。
「うっ。。。んっ。。。」
胸の突起から臍、その下へと蠢く温かくて柔らかい感触に
溺れて、掠れた吐息が漏れた。
「清寿の本命は、俺だけ?」
硬くなりだしたものを取り出され、先端に舌先が、一瞬、
触れた。
「あうっ。。。はぁっ。。。はっ。。。」
口に腕を当てて、声を殺す。
ここは監視カメラの真下で。。。隠しようも無く全部写って、
はしたなく喘ぐ声も録音されてしまう。
笑太君は意地悪く笑うと、左手で僕の腕を持ち上げて
外して、右手の指を後孔に挿し入れてきた。
「あ。。。っ、やっ。。。」
声を上げまいと耐えている唇を舌でこじ開けられて、
飲み込んでいた甘い息を吐き出させられる。
閉じそうになる膝を無理矢理開かされて、笑太君の
頭が股間に沈む。
「ああっ!」
大きな声を上げてしまってから、口を両手で塞ぐ。
とくんっ!と心臓が跳ねたのと同時に、笑太君の口の中に
放ってしまった。
「ごめ。。。んっ」
太腿の付け根の内側の柔らかい部分を吸われて、いくつも
の痕が赤く、素肌に残されてゆく。
「くっ、んっ、んっ」
ちゅっ、と唇が触れる度に、引き攣ったように身体が震える。
「昨日誰かとした?」
「してないよっ!。。。笑太君以外とは」
ムキになって声を荒げてしまってから、にやにや笑っている顔
を見て頬が熱くなる。
「俺の本命は清寿だよ」
膝を押されて目一杯まで開かされて、その間に笑太君が
座り込んだ。
「だから、お前からのチョコ以外、興味無い」
灼熱の塊が押し込まれてきた。
「。。。笑太くんっ!」
両手を突き出して名前を呼んだら身体を近付けてくれた
から、必死に肩にしがみつく。
「笑太くん。。。笑太くん。。。っ」
腰の下を支えて僕に負担を掛けないようにして、強く深く
突き上げてくる。
「もっと。。。っ、奥まで。。。もっとっ」
その快感に、声を殺すことも忘れて貪欲に求める。
「しょ。。。うたく。。。ん、好き。。。っ。キス。。。して」
応えてくれた笑太君の息は甘い香りがして、何度も唇を
求めていた。
「チョコ。。。食べたっ?僕があげたの。。。っ」
散々揺さぶられて絶頂に達しそうになった時に訊いたから、
笑太君の答えも途切れ途切れだった。
「食べた。昨日。。。っ、帰ってすぐにっ」
汗が流れて、僕の頬に落ちてくる。
「美味しかったっ?」
律動が激しくなって、笑太君が低く唸った。
「。。。イク」
「僕もっ。。。」
「清寿、一緒にっ」
「うんっ。笑太君、大好き。。。っ!」
互いの身体が同時に大きく震えて、熱が、弾けた。

「チョコ、美味かったよ」
終わってから怠くてソファの上で抱き合ったままでいたら、
笑太君が突然真面目な顔をして云った。
「じゃあ良かった」
他のチョコみたいに、どうでもいい、とか云われなくて。
「続き、食べる?」
テーブルの方を指差すと、そちらを見ようともせずに僕の
頭を胸元に引き寄せた。
「や、もういい」
耳が左胸に当たって、笑太君の鼓動が聞こえる。。。
「今食いたいのは、清寿だけだ」
大きな手のひらで頬を包み込まれて大事そうにくちづけ
されたら、触れられた所からチョコレートみたいに蕩けて
しまいそうだった。
「ねぇ、笑太君」
「ん?」
「ううん。なんでもない」
変なヤツ、という顔で笑ってから目を閉じた、笑太君の
胸にまた耳を寄せる。


こうやって溶け合うように抱き合えるのはいつまでだろう。
来年も、チョコが渡せたら、いいな。。。


―The end―






P.S.
バレンタイン当日の話。
清寿の手作りチョコは前日に
渡し済みという。。
もうひとつのバレンタインの話の
続きになってるような、
なっていないような(汗
甘いっ!だけの話で
申し訳ない。。
09/02/15Sun.


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