02. 「お前から誘ったクセに?」*R-18*


あそこの紅葉が綺麗だったとか。
あの上から見た景色が良かったよねとか。
更衣室で帰りに着替えてた時、羽沙希君とそういう話
になった。
間に挟まれた笑太君は一見興味無さそうな表情(かお)。
けど、本当は違うんだよね。
それは、つまんねぇな、って思ってる顔。
「紅葉なんて。。。いつ見たんだよ?」
ほら。口を挟んできた。
「今日一件目の任務の時だよ。ね、羽沙希君」
「はい。公園の中で処刑しましたから、そこで」
ふぅん。なんて、どうでも良さそうに行ってるけど。
「最近僕達ばっかり現場に行かせるからだよ。笑太君
ももっと出てきて」
横目で睨み付けられても、笑顔で返す。
視線を逸らされて大きな溜め息をつかれてもいいよ。
「だって本当のことじゃない」
他の人から云われるとキレるかもしれないけど、僕には
言い返すことも出来ないでしょう?
羽沙希君が居なかったらきっとキスか何かで誤魔化さ
れてしまうだろう。
でも、今日はそれも出来ないよ。
さぁ笑太君、どうする?
ちょっと意地悪してるワケは、昨日、ベッドの中で沢山
啼かされたから。
いつもいっぱいいっぱい意地悪されてるんだから、たま
にはやり返したくなる。
「。。。」
黙々と着替え続ける笑太君。
その横でにこにこ笑ってる僕。
僕達に気を遣っておろおろしている羽沙希君。
ほらほら。笑太君、何か云わないと。
このままじゃ羽沙希君が可哀相。
「。。。分かったよ。すまねぇな、いつも」
僕の心の声が聞こえたみたいなタイミングで、笑太君
が口を開いた。
ふふ。
思わず忍び笑いを漏らしたら、笑うんじゃねぇよ、って
表情をした笑太君に、おでこをコツンと突付かれた
「ね、笑太君」
羽沙希君がこそっと小さく溜め息をついて、緊張が
解けた表情でコートを羽織っているのを見ながら、
むすっ、としている耳元に口を寄せる。
「ん?」
語尾上がりの、やや不機嫌そうな口調。
「紅葉、観に行こ」
お疲れさまです、と、羽沙希君が先に帰って行った。
そっちには、お疲れ、と返しても、こっちには返事をまだ
くれてない。
「ねぇねぇ。笑太くんっ」
首を伸ばし、前から顔を覗き込む。
油断してたから、隙があった。
顎を下から捕らえられて、ロッカーに背を当てる格好で
押し付けられる。
「んんんーっ」
唇を塞がれて、重ねられた手のひらを必死に握る。
咽喉の奥まで蹂躙しようとする舌に抗おうと、舌を
絡めて返す。
それがいつの間にかただの深いくちづけに変わって、
お互いを求め合っていた。
「ぁんっ」
背筋を辿って、手がジーンズの中に降りてきた。
そして、ゆっくりと、もっと下に。。。
「や。。。」
僕の首元に顔を埋めている笑太君に向かって云う。
「笑太君、止め。。。っ」
ジーンズの前のファスナーが下ろされて、隠そうとして
も隠せるわけが無い程固くなってしまったものを、下着
の上から愛撫される。
「ああっ。あ。。。」
導かれて触らされた笑太君の昂ぶりを、握り返す。
欲しい。
根源的でシンプルな欲求。
何故こんなに僕は、快楽に弱くなってしまったんだろう。
どんどん堕ちてゆく。
そんな気さえする。。。から。
「やだっ!こんなとこで。。。」
両手を前に突っ張って、笑太君の身体を自分から
引き剥がす。
笑太君はきょとん、と目を丸くしてから、口の端で淡く
笑った。

「お前から誘ったクセに?」

「ええっ?!なんで?」
襲ってきたのは笑太君じゃないか。
「なんで僕が誘ったことになるの?」
抗議している傍から、顔や髪に降り注ぐくちづけ。
「自覚ねぇから始末悪ぃよな」
えー?それって、それって!どういうこと!?
「そんな顔、俺以外のヤツには見せるな。例え相手が
羽沙希でもブチ殺しちまうかもしれねーぞ」
そんな顔って、どんな顔??
「。。。僕のせいなの?」
「お前のせいだ」
都合が悪いことは僕のせい?
ズルい。けど、好き。
最初から勝負は決まってる。

やっぱり僕、弱くなったな。。。


―End―



今更ですが、
もはやショートショート
とは云えない長さ(汗

嫌われないって自信が無いと
こんなこと云えないって自覚が
全く無い2人の話。。
08/11/14Fri.


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