30. 夢の中ではこんなにも*R-18*


「清寿。。。」

顔が見えなくなるから前からじゃなきゃイヤだ、
が、清寿の口癖。
後ろからの方が身体に負担がかからないし、
顔が見えない方が感じるぞ、と冗談めかして
云ってみたら、困った顔で笑われた。
付き合いは長くてもこういう関係になってから
はまだ浅いから、お互いの嗜好が良く分かっ
ていない。
特に清寿にとっては初めての相手が俺だから、
色々と不安らしい。
もっと近く、深く分かり合いたくて、泊まりに
行った日には、大概抱く。
そして、綺麗で、どんどん感度が良くなって
いく身体にのめり込んでいく。

「なんでそっち向くんだよ?」

終わって後始末してやっていると、寝返りを
打って俺に背を向ける。
だから仕方なく、背中から包むようにして抱い
て眠る。
最初から、ずっとそうだった。

「だって。。。寝て起きたら夢だったってオチで、
笑太君が居なくなっていたらイヤなんだもん」
「そんな夢、見るのか?」
「。。。まだ見たこと無いけど。。。」
「夢じゃないし、居なくなんてならないから」

意地でも俺の方を向く気は無いらしい。
いつも笑顔で穏やかな副隊長、なんてのは
表向きで、云い出したら結構頑固だ。
それにあれがイヤ、これもイヤと、結構注文も
多い。

「怖いから、やだ」

こうなったら実力行使あるのみ。
背後から、首筋に顔を埋める。

「あ。。。やっ。。。」
「もう一回」
「んっ。。。も、無理」
「こっち向かないんだったら、後ろからする」
「や。。。はぁっ、あぁ。。。あ。。。」
「前からがいい?」
「う。。。ん。前からじゃなきゃイヤ。。。っ」

仰向かせると、必死にしがみついてきた。
その表情(かお)に、余計そそられる。

「笑太君。。。僕には優しくない」
「お前だって俺にはわがまま云うだろうが」

抗議の声は甘く掠れて、喘ぎに紛れる。
潤んだ瞳で睨まれても、全然怖くない。
清寿は、自分から先に好きになったから
笑太君には負ける、と云うが、
俺は、俺の方から惚れたと思っているから、
清寿には勝てない。

「まだ怖い?」

繋がる瞬間、清寿は身体を強張らせる。
握った手のひらが汗ばんで、細かく震える。

「僕が僕じゃなくなっちゃうのが、怖い」

愛しい。

そう思った時点で俺の負け。
清寿に、溺れて。。。
同時に果てて互いを抱き締め、唇を求め合う。

「夢の中ではこんなにも近くに居てくれるのに」
「夢?」
「うん。夢見てるみたい。だから目を覚ますのが
怖くて」
「だから夢じゃねぇし、居なくならねぇって」
「本当?じゃあ笑太君の方見て寝るね」


欠けた部分を補うように愛し合って。。。
一番近くで俺を見ていてくれ。
アイツみたいに狂ってしまわないように。


―了



求めているものが
違うからこそ、
もどかしい。。
08/10/13Mon.


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