15. 君の隣に腰掛けて


君の隣に腰掛けていても、いい?

「一年目より二年目の方が速かった気がする」
隊員選抜総会が終わり、誰も居なくなった会場
を、伸びをしながらぐるっと見渡す。
「一年が、あっと言う間だった」
壇上の端から足を垂らして座っている僕の横に
来て、笑太君がしゃがみこむ。
「また第一だな」
「うん。よろしく」
微笑みかけると、にこっ、と、笑顔が返ってきた。
「。。。?何?」
「何でもない」
一年目より、笑ってくれるようになったよね。
それだけで嬉しい。
怒られたり呆れられたりすることも少なくなって、
笑太君、って、自然に呼べるようになった。
それに、触られても緊張しなくなったよ。
「今日はこれでお終い?」
「当たり前だ。疲れてんだろ?」
真夜中に呼び出され、ひとつ処刑を終えてから、
慌てて着替えて開始時間にやっと間に合った。
「疲れては無いけど、早くシャワー浴びたい」
顔と髪に浴びた返り血をタオルで拭き取っただけ
だから。
「臭いが残ってる気がして気持ち悪い」
髪の毛を一房手に取って鼻の近くに持ち上げて
くんくん嗅いでいたら、笑太君の手が伸びてきた。
抱えるように頭を持たれて、くいっ、と、引き寄せ
られた。
「変な臭いなんかしねぇよ」
耳の上に笑太君の鼻先が触れた。
息遣いが、ものすごく近く聴こえる。
「いつもの匂いだ」
いつもの。。。?
上目遣いで見上げたら、笑太君と目が合った。
「。。。汗掻かないだろ?」
「え?!フツーに掻くよ」
「ふ〜ん」
ふ〜ん、って。。。!
「汗だくになってるとこなんて見たことねぇなぁって
思ってさ」
「そんなことないよ!冷や汗とかちゃんと掻くから」
今だって、手のひらに少し汗掻いてる。
「なんかお前って体温低そう」
「ちょっと笑太君、僕の事何だと思ってんの!?」
笑太君から見た僕ってどんななんだろう?

僕から見た笑太君は。。。

しゃがんでいた笑太君が、僕の隣に、同じように
足を垂らして腰掛けた。
「お互いまだ知らないことがいっぱいあるな」
笑うと口元のホクロが持ち上がる。
「そうだね」
僕も微笑んで返す。

並んで座って、他愛無い会話を交わす。
平穏な時が貴重で、心地良い。

笑太君が立ち上がり、制服の裾をぱたぱたと
叩いた。
「さ、帰るか」
頷くと、目の前に手を突き出された。
「?」
握り返すと、ぐいっ、と、引かれて立たされた。
「飯でも食ってく?」
「うん、行こ!」

もっと話したい。
許されるなら、もっと、知りたい。
これからも君の隣に居たいから。


―つづく



一年目より
色々事情が
分かってきて、
責任も生じてきて
大変だけど、
あっと云う間の
二年目。。
どの仕事でも
同じかな?
08/08/31Sun.


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