―The Seventh Night Of Seventh Month―


いつの間に眠っていたんだろう。。。?
ふわふわと頭を撫でている指先の感触で覚醒した。
妙にぼんやりしている。頭も視界も。
起きているようで、眠っているようで。
「あ、笑太君?起きた?」
声がした方を見たら、清寿の上から覗きこんでいた。
「ん。。。今何時?」
頭を左右に揺すると、清寿はくすぐったそうに笑った。
どうも頭の据わりが悪い、と思ったら、膝枕で眠って
いたらしい。
「真夜中。まだ真っ暗だよ」
目を閉じながらねだるように顎を軽く上げると、清寿
は俺の要求を察して、身体を屈めるようにして唇を
合わせてきた。
「退くよ。これじゃ眠れねぇだろ」
「ううん、いい。眠らないから」
にこっ、と、邪気の無い微笑みが返ってきた。
今日は七夕だから、星が見えるのを待っているんだ
ろうけど。
「曇ってんだろ?今夜は星見えねぇんじゃねぇ」
昨日からずっと雨降りで、やっとさっき上がったばかり
なんだから、星なんか見える訳ない。
「うん。。。やっぱり無理かなぁ。。。」
生々しい傷痕が残る腹部近くまで素肌を晒してい
るのは、俺に毛布のほとんどを掛けてくれてるからか。
「いいから。寝てて」
起き上がろうとしたのに言葉で制されて、タイミングを
逸してしまう。
「清寿。。。」
下から腕を伸ばして首を捉え、引き寄せるようにして
何度も深いくちづけを交わす。
「もういい加減、横になれよ」
座っている姿勢から身体を横たえさせようとしたが、
擦り抜けられてしまった。
「やぁだ。今夜は寝ない」

触れたら壊れてしまいそうなくらいに繊細で、誰もを
魅了してしまいそうなくらいに綺麗な微笑み。
自分だけのものにしたくなる、衝動。

笑った隙をついて起き上がり、唇を奪いながら覆い被
さるにようにして、ベッドの上に押し倒す
「んっ。。。ん、んんっ。。。」
頭を押さえつけるように唇と舌を捕らえ続け、閉じよう
とする膝の間に割って入り、その奥を探る。
「。。。っ」
波打つように腰が揺れて、差し込んだ指をキツく銜え
込む。
「ああ。。。はぁ。。。あぁ、笑太くぅんっ」
首筋に喰らいつきながら、指を増やしてゆく。
「う。。。っ」
愉悦の点を指先が掠め、清寿が弾けた。
「早ぇよ。まだ挿れてもいねぇのに」
「。。。意地悪。。。」
喘がされて潤んでいた目の端に、涙の粒が浮かぶ。
「清寿、欲しいんだろ?」
言葉でいたぶる度に、襞が扇情的に反応して締め付
けてくる。
「ん。。。あ。。。ああっ」
清寿の口から漏れる吐息が甘く弾け、部屋中に響く。
「清寿、ホラ」

冷静さを装って赤く染まった耳へと囁き続けるが、あと
どのくらい我慢出来るか自信が無い。

「何が欲しいか、ちゃんと云ってみ」
興奮して、俺の息も荒くなってくる。
「云わないっ」
口をきゅっと結んでしまった。
「何でだよ?」
欲しがってくれ、なんて俺からは云えない。
「あ。。。あぅ。。。んっ」
言葉で責めながら3本目の指を入れた時、清寿はまた
達してしまったようだ。
「云ったら叶わなくなっちゃうから。。。」
焦点を失った瞳が、ぼんやりと俺を見ている。
緩く開いた唇の間に覗いている舌先を掬い上げるように、
舌を捩じ込む。
「星に願うより俺に願えよ」
大きく反った咽喉が、苦しそうに震えた。
「云えよ。叶えてやるからっ」

俺だけが欲しがってるんじゃないって。。。
互いが互いを欲していると確認したいだけなのに。

「俺が欲しいって、云え」
切なく上がる息を漏らさないように口を噤んで、清寿は
頭を左右に大きく振った。
それを見て、我慢が限界を超えた。
昂っている先端を突き立てようとした刹那、消え入りそう
な声が聞こえた。

「どうか笑太君を僕に下さい。。。」

俺の背中に回された手が、掻き抱くように爪を立てた。

「笑太君の全部を、僕に下さい。。。っ!

貫いて、乱暴に穿つ。
笑太君、と呼ぶ声が掠れて、やがては嗄れて出なくなる
まで、清寿が意識を手放すまで、ずっと繋がり続けた。

「俺が欲しいのはお前の全部だよ」

背中を丸めて眠る清寿の髪を、優しく撫でてやる。
泣かされすぎて真っ赤に染まった瞼の縁には、まだ涙が
滲んでいた。
「俺の全部をやれないのに、お前の全部を寄越せ、って
いうのは自分勝手だよな。。。」
窓の背を向けて座った姿勢から反り返るようにして夜空
を見上げると、雲が切れて星が見えていた。
「今年は俺が代わりに願っておいてやるよ」
お前が願いそうなことくらい分かってる。

「来年も一緒に居られますように。。。だろ?」

年に一回しか会えないという星はどれとどれだか、清寿に
教えて貰わないと見当もつかない。
だから視界の中をすっと流れた星に、とりあえずお願いして
おくことにした。


―The end―






P.S.
七夕の夜の話。。
<Seasonal Stories>
に置いてある
“Rainy Lasy Morning”が
この日の朝の話です。
なんでこの話を
季節モノの方へ
置かなかったのか?
それは。。。
自分でもナゾ(笑
08/07/06Sun.


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