―05:闇


ムカつく。
本当はそんな簡単な言葉じゃ表しきれない感情。
「大丈夫か?」
怒りと、不快感と、焦燥と。。。
「怪我は無さそうだね」
悔しさと、自己嫌悪。
目隠しを外されて、闇から光の中に投げ出される。
「どこか痛いとこ無いか、上條?」
腰に手を当てて見下ろしている態度が気に食わなくて、
返事なんかしてやるもんか、と思う。
「これで全部取れたかな。手と足、動かしてみて」
手足を縛っていたテープを剥がし終って、背中を軽く
叩かれた。
無言のまま、手首を動かしてみる。
「どこか変?」
至近距離から覗き込まれて焦り、反対側に顔を逸らす。
「だ、大丈夫」
「足首は?動く?痛くない?」
優しい声と口調にイラッとして、口を固く閉ざす。
「大体さ、無茶だろ?この人数に3人って」
副隊長が元親と瑞城の拘束を外しているのを手伝おう
ともせずに、お説教しようって気なのか?
偉そうに。。。と思うと、ムカつく。
開け放たれたドアから差し込んでくる光の下に晒された、
死刑囚とその共犯者達の無惨な死体。
たった2人でこれだけの人数を相手にして、自分達も、
僕達。。。人質も無傷で。。。
「。。。」
「ん?なんだ、上條?」
「助けてくれなんて云ってない。。。っ!」
それが負け犬の台詞だと解っているのに云わずにい
られない自分にもムカつく。
あんた達の存在が僕の中の闇を増幅させるんだ。
「助けに来たわけじゃねぇよ。たまたま近くに居て応援
要請があったから来ただけで」
「第三が現場から戻ってこないから見に行って欲しい
ってそういう内容だったから、苦戦してるとばっかり思って
たんだよ。ね?笑太君」
床に膝を付いた姿勢から立ち上がり、制服の裾に付
いた埃を払いながら、副隊長が微笑んだ。
「テープで巻かれてたから縛られてた痕残ってねぇし。
俺らただのサポートだから、上手く報告すりゃあいい」
「この案件の担当は第三だから、僕達には報告義務
無いしね」
その余裕の発言が嫌味に聞こえないのは本心だか
ら。。。?
「帰んぞ、清寿」
「後はよろしく。あ、まだ処理班も呼んでないからね」

強過ぎる。そんなの解ってる。
敵わない。それだって解ってる。
自分に余裕が無さ過ぎるのだって、ちゃんと解ってる。
だけどいつか、絶対に越えてやる。。。!


End.



上條はいつから隊長
やってるんでしょう?
彼が隊長になってまもなく
くらいという設定で。。


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