―14白い病室で


夢を見ていた――。

「藤堂さん、藤堂さん」
控えめに肩を揺すられて、目が覚めた。
「あ。。。」
「面会時間、終わりましたよ」
見覚えのあるナースが、微笑みながらそう
告げた。
「すみません。今帰ります」
ピ。。ピ。。ピ。。
伊緒李の生命(いのち)を表す機械音が、
無機質に響いている。
「お疲れですね?」
「。。。いえ」
シュー。。シュー。。シュー。。
人工呼吸器が送り出す規則正しい呼吸
の音が、無感情に続いている。
「伊緒李は――」
「はい?」
「い、いえ。よろしくお願いします」
静かにドアを閉め、白い病室を後にする。

その問いは、もう何度もした。
伊緒李がこの状態に陥ってすぐの頃は何
もかにも納得出来なくて、何度も医師を
問い詰めた。

生きているのか?死んでいるのか?
これはどういう状態なのか。

その度に返されるのは、困ったような表情
(かお)と、同じ答え。

身体の機能は生きています。
脳の機能については診断のしようがありま
せんが。

話し掛けても手を握っても何の反応も無い。
脳波がゆるやかに波打つだけで何も感じる
ことが出来ないのに、それでも生きていると
云えるんだろうか?
死んでいないと云うだけで、何がどう違うん
だろう。。。

ずっと、そう思っていた。

「弟さん、どんな夢見てるんだろう?」

以前面会に来てくれた式部隊長が、伊緒李
の顔を覗き込みながらそう云った。
「こういう時は夢を見てる時だよ」
指摘されて良く見てみたら、もう何年も閉ざさ
れたままの瞼の奥で、瞳の膨らみがゆっくりと
左右に動いていた。
「優しい顔してるから、優しい夢見てるんじゃ
ないかな」
そんなことを云ってくれる人は今まで居なかった。
驚いて、戸惑っていたら、御子柴隊長に頭を
ぐりぐりと撫で回された。
「羽沙希は俺達が護ってやるからな」
そんなことを云われたのも初めてだった。

その日から、この病室で居眠りすると、
不思議な夢を見るようになった。
温かくて柔らかくて。。。
陽だまりの中に居るような夢。
これが伊緒李の見ている世界?
だとしたら、嬉しい。
冷たい水の記憶から僕が救い出されることは
無いけれど、君だけはせめて優しいところに
居て欲しいと祈りながら、
明日も僕は処刑(ころ)し続ける。。。


―瞳をとじて―



病室と云えば。。
単純すぎ?(汗
伊緒李君は
脳死状態なのか?
深昏睡状態なのか?
そこら辺がはっきりして
ないんですが。。
とりあえず難しい話は
置いといて、と(笑


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