―15深夜の踏み切りで


定時なんて有って無きが如きもので、
任務が深夜まで及ぶことも稀ではない。
そんな時は当然のように、一緒に帰る。

「でね、羽沙希君がね。。。」
楽しそうに話す清寿に相槌を打つ。
手を繋ぐのも照れ臭くて、並んで歩いて
いるうちに、自然に清寿の指が肘を軽く
掴んでいた。
黙っていても嬉しそうな時は一緒に清寿
のうちへ帰る時。
沢山喋ってくるのは別々の部屋に帰る時。
今夜は別のところに帰る日だから、清寿
はずっと喋りっぱなしだ。
にこ。
目が合うとはにかむように微笑んで、視線
を前に戻す。
会話が途切れたほんの少しの間に、肘を
掴んでいる指にぎゅっと力が籠もり、言葉
にしない清寿の寂しさが伝わってくる。
「手、繋ぐか?」
大きく頭が振られて、髪が揺れる。
「ううん」
長時間の任務の後なのにまだ強く甘く髪
が薫った。
「離せなくなるから、このままでいい」
抱き寄せたい衝動を、理性で押し留める。
「あ。。。」
急に清寿が立ち止まる。
それで俺も我に返る。
悶々としながら清寿の話を適当に聞き
流して歩いているうちに、通勤路にたった
ひとつだけある踏み切りのところまで来て
いた。
「どうした?」
俺の部屋はこの先の道を左に、清寿の
うちは真直ぐに行ったところにある。
「こんな時間に。。。電車?」
耳を澄ませると、遠くから電車が近付い
てくる音と、小さく踏み切りの警報音が
聴こえてきた。
「本当だ。珍しいな」
通常の電車が走っている時間ではない。
貨物列車か回送車両だろう。
「笑太君」
列車の音が近付いてきて踏み切りの警報
音が鳴り出した時、清寿は唐突に俺の名
を呼び、綺麗な笑みを見せた。
「バイバイ。また明日」
指を肘から離し、数歩後ろから駆け出す
ように俺を追い越して、遮断機を潜るよう
にして線路の向こう側に行ってしまった。
「。。。!」
電車が視界を遮る直前に片手を上げて
振っているのが見えたけれど、長い車両
が通り過ぎて踏み切りに静けさが戻った
時には、その姿は掻き消えていた。

「おやすみ、くらいさ、俺にも云わせろよ」
鼻で息を吐き、呆れたように呟く。
走って帰ったのか、後ろ姿さえ見えない。
「おやすみのキスぐらい、させてくれたって
いいだろうに」

するりと俺の横を通り抜けた時に見せた
寂しげな微笑みと、鼻先を掠めた髪が残
した香りを抱き締めたまま、背中を丸めて
足を速めた。


―思いがかさなるその前に・・・―



第三東都帝国には
電車通ってるのかな?
きっとあるよね??(汗

清寿は笑顔でバイバイした後
寂しくなっちゃうタイプかな。。
多分全力疾走で帰ったと
思われます(笑


Back