―Trick with Treat―


「このカッコ、好きだよな」
耳のすぐ後ろでくすくす笑う声がして、御子柴は首を竦めた。
「くすぐったいよ」
式部は胸と胸をくっつけるように抱き付いて御子柴の肩に顎
を乗せたまま、横を向いて首筋に軽くくちづけた。
「うん。好き。こうしてると安心するし。。。」
赤味の強い茶色い髪にまで唇を当てて、ふわりと笑う気配が
する。
「笑太君が僕だけのものって、そんな感じがするから、好き」
照れ臭くて笑みが零れる。
こんな顔見られなくて良かったなと、御子柴は思う。
またくすくすと式部が笑う。
反応がすっかり読まれているようで居心地が悪いような、却っ
て心地が良いような、そんな複雑な気分になる。
でも、それでもこの温もりが自分の腕に中にあるからいいや、
と、御子柴は式部の背中に回した腕に力を籠めた。
はぁ。。。と吐き出された甘い息の欠片を、背中で感じる。
「少しは温まった?」
「うん、少しは。でももう少しこうしてたい」
いつもより遠回りして帰ってきて、すっかり身体が冷えちゃった
よ、と身体を竦めた式部を、御子柴は、じゃあ温めてやるよ、
と座った自分の膝の上に乗せて抱き寄せた。
いつまでも温まらない式部の身体を抱き締めているうちに火照り
出してきてしまった自分の身体を、御子柴は先刻から持て余して
いた。
「なぁ、してもいい?」
思わずねだってしまって、こんな時の顔も見られなくて良かった
な、とまた、御子柴は思う。
「もっと温めてくれるの?」
さらさらの髪で頬を撫でられて、綺麗な声に耳朶をくすぐられて、
御子柴も大きく息を吐く。
身体の奥から湧き上がってくる欲望で灼かれるようだ。。。
「このまんまで、して」
「でも。。。これじゃ顔が見えないよ」
感じている顔も、達する直前の少し苦しそうな顔も、終わった
後の潤んだ瞳も、全部見ていたいというのが本音だけれど、そん
なこと恥ずかしくて口には出せないよ、と思って、御子柴は顔を
赤く染めてほんの少し俯いてしまった。
式部の忍び笑いが、そんな御子柴の身体を揺らす。
「じゃあ、こうする」
御子柴の肩に手をついて、式部はぐっと身体を起こした。
間近から顔を真直ぐに見詰められて、戸惑う。
「これもなんか。。。恥ずかしいな」
「今更恥ずかしいなんて。笑太君って可笑しい」
思い切り笑う式部が憎らしくて、御子柴はその中心を探って捕ら
え、緩く扱く。
その途端腕の力が抜けて、式部の全身が御子柴に委ねられた。
「あ。。。いやぁ。。。」
「嫌?本当にイヤなら止めようか?」
「。。。笑太君なんかキライ」
首に回された腕から時々、小さな震えが伝わってくる。
「本当に嫌いなら、こんなに感じないだろ?」
先走りで指を濡らし、先端を擦るようにする。
「。。。やぁっ」
「清寿、自分で挿れて。もう我慢出来ないんなら」
式部に睨まれて、御子柴が微笑む。
こういう気の強い顔も好きだな、と、思いながら頬を撫でる。
「欲しいんだろ?」
欲しくて堪らないのは本当は自分の方なのに、と、自覚しながら
も、わざと言葉で虐めてみる。
仕方ないなぁ。。。という表情をして身体を浮かせた式部の腰に
片手を添え、もう片方の手を御子柴の昂りを握る式部の手に添
えて、花芯にあてがう。
「あ。。。ああー。。。っ」
自分の身体の重みで御子柴を受け入れながら、式部が苦しそう
に喘ぐ。
「いいなぁ、その顔」
息を詰めて、眉を顰めている横顔に、囁く。
「もっと苦しそうな顔、してみせて」
臀部の双丘を開くようにして掴み、自分の方に引き寄せるように
して、もっと奥へと突き上げる。
「う。。。ああっ。。。だめぇ。。。」
消え入りそうな声で、式部が弱々しく抗議する。
その茎から白い露がぽたぽたと零れた。
「もう漏らして。早いって」
「そんなこと云う笑太君、キライだ」
言葉とは裏腹に肌がしっとりと汗ばみだして、吸い付くような感触
に変わってきた。
その変化を楽しむように、揺れる腰から背中をゆっくりと撫でながら、
御子柴が、にいっ、と、笑う。
「そういう顔も綺麗だよ」
「嬉しくないよっ。そんなこと云われたって」
切れ長の目尻から滲み出した涙が、ぽろぽろと頬を伝って落ちた。
「今日は意地悪したい気分の日なんだね。。。」
その涙を指で拭き取ろうとする御子柴の手首を掴んで、手のひらに
ふわっとくちづけながら、式部が微笑む。
「ねぇ、僕は笑太君の"treat"なんだから。優しくして」
「え?何?」
「treat。。。あま〜いお菓子だよ。だから意地悪しちゃダメ」
目を丸くしている御子柴の唇にもくちづけを落とす。
「Trick or Treat?って。分からない?」
ああ、と、やっと御子柴も思い当たって、向こうのテーブルの上に置か
れた、ジャック・オ・ランタンに視線を泳がせた。
もうすぐハロウィンだったっけ。
御子柴はその手のイベントには最近まで興味も無かったし無縁だっ
たから、意味を教えられたからってすぐにぴん!とは来ない。
「あれは“悪戯されるのが嫌ならお菓子をくれ?”って意味なんだろ?」
「今日の笑太君は意地悪っていうより、悪戯っ子って感じがするんだ
けど。違う?」
式部はにっこり微笑んでから、片目を瞑ってみせた。
「悪戯ばっかりしていると、もう優しくしてあげないよ」
「この態勢でお前がそれ云うワケ?」
からかうように笑う口元のホクロを、式部が軽く吸う。
御子柴はその唇を掬い上げるようにしてくちづけを返しながら、下から持
ち上げるように穿つ。
「う。。。っ!やだぁっ。。。はぁっ。。。ぁあん。。。っ」
式部の腰が跳ねるように上下して、繋がった部分から湿った音が響いた。
「やっ、そんな。。。に。。。激しく。。。しない。。。で」
手加減なく突き続ける御子柴を、掠れた声で式部が責める。
「激しいのも好きだろ?すげー締まってくる」
「そういうの、止めてって。。。」
「でもさ、どんなに意地悪されても悪戯されても、俺のこと好きなんだろ?」
自信満々に云い放った御子柴の顔を目を丸くして見てから、式部は大き
な溜め息をひとつついた。
「怒ってる顔も嫌がっている顔も全部見たい。見てたいんだ」
「。。。僕に嫌われるって全然っ思ってないとこがスゴいよね」
呆れたように笑った式部の最奥を、強く突く。
「。。。ーーっ」
言葉にならない叫びと共に大きく反らされた背中に震えが走り、腹部と
腹部の隙間に熱が放たれて、式部の全身から力が抜けた。
それを身体で受け止めると、御子柴の肩にアツい息がかかった。
「俺まだなんだけど」
「もぅっ」
肩先を甘く噛まれて、まだ勢いを保ったままの茎がきゅっと締め付けられた。
「。。。っつ」
「中で出して。。。もっと気持ちよくさせて」
吐息みたいな声で囁かれて、それだけで御子柴はイキそうになる。
「僕にもちゃんとご褒美を頂戴」
式部の身体をそっとベッドに横たえて上から跨る格好になり、了解を得る
様にくちづけをしてから、最初はゆっくりと、徐々に激しく追い上げていく。
「。。。っ、イクっ」
「ああ〜っ、笑太君っ。。。笑太くん。。。っ」
一瞬、身体が融けて混ざり合うような感覚がして。。。
御子紫の熱を受け止め終えて、うっとりと式部が微笑む。
この顔が一番好きなんだなんて恥ずかしくて絶対に云えないな、と、思い
ながら、頬と頬を合わせ、背中に腕を回してぎゅっと抱き締める。
ふと視線を感じてそれを辿っていくと、テーブルの上でオレンジ色のカボチャ
が真っ黒な口を開いて笑っていた。

全部コイツに見られてたな。。。

そう思った途端妙に照れ臭くなって、御子柴はそっちに向かって、べっ!と
舌を出してみせた。


―The end―






P.S.
。。急に寒くなったんで、
ベタベタしてるだけの話でも
書いてみようかと。。
ただそれだけです(汗
ここに出てくるジャック・オ・ランタンが
式部の部屋に来た経緯にも
実はちゃんと設定があって。。
だから御子柴が最後にあかんべー!
してるんですが。。
その話は後日UPしようかと。
ハロウィンまでに間に合うかな?(汗


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