―The Gift of the Magi―
      sequel to“No Matter What Happens”&“an Undeniable Fact”


「じゃ。。。笑太君、あの日うちに来てたの?」
「あ。。。ああ。まぁな」
「なんでっ?!」
「なんでって。。。お前の誕生日、だったから」
「絶対に忘れてるって思ってた」
「。。。覚えてるって」
「連絡してくれれば良かったのに。。。」
「したよ。でも出なかった。気が付かなかっただろ?」
言葉に詰まって、紫の瞳がバツが悪そうに揺れた。
「。。。もしかして泊まっていったの?」
「うん。帰って来ないから、横になって待ってるうちに眠ってた」
「で?朝、帰ったの?」
「いや。お前んちから出勤したけど?」
「。。。何も云わなかったじゃない!。。。」
「お前次の日具合悪そうだったから、さ」
御子柴は淡々とした口調で続けた。
「話し掛けて欲しくないって顔、してたから何も云わなかったんだけど」
「あ。。。あれはっ、二日酔いで。。。」
それに、何も訊いて欲しくないって顔、だったのにな。。
ブルーブラックの髪が、俯いた顔に浮かんだ困惑の表情を隠していた。
「で、さ。あのウワサを聞いちまってアタマにきて。。。2日?はガマン
してたんだけど」
「笑太君にしては我慢した方だよね。。。バレバレだったけど」
「っさいな。ガマンしてた分だけ余計にムカついちゃってあんな風に乱暴
に。。。しちゃって。。。その。。。悪かったな」
視線を下に逸らしもごもごと語尾を飲み込む御子柴の姿を、式部は
柔らかい微笑みを浮かべて見守ってから、ぽそっとこう呟いた。
「これって、任務の合間にちょろっとする話じゃないよね?」
それに御子柴がすぐ反応した。
「でもさ、まともに訊いたら答えてくれなさそうだったから。。。」
「。。。」
「黙り込まれちゃいそうで、怖かったから。。。さ」
青い瞳に真直ぐに捕らえられ、式部は金縛りにあったように固まって
しまった。
「あの日、お前の誕生日、三上さんと一緒に居たんだろ?」
「。。。」
「ホラ、み。黙っちゃうんだろ?」
一旦閉じられた紫の瞳が意を決したように開かれて、正面から御子柴
を見た。
「。。。居たよ」
今度は御子柴が言葉を詰まらせる番だった。
「朝まで一緒に居た」
式部を見返す御子柴の瞳には、表情が無かった。
「呑み過ぎて酔っ払っちゃってずーっと笑太君の愚痴ばかり云っている僕
の相手をしてくれて、傍で眠ってくれただけで」
式部は眼に力を込めて、そんな御子柴を縋るように見た。
「。。。でも、それだけだよ。他には何もしてない」
「。。。本当に?」
「僕のこと、信じられない?」
「。。。」
「そっか。仕方無いよね」
ふぅ。。。
俯いて瞳を伏せ、式部が太い息を吐いた。
「僕だって逆の立場だったら信じてあげられないかもしれな。。」
「ならいいや」
云いかけた言葉の途中で突然投げ込まれてきた御子柴の言葉に驚い
て、式部は目を瞠ってその顔を見つめた。
「え。。。っ?」
「なら、いいや」
もう一度云って、御子柴が形の良い唇の端を持ち上げてニカッと笑った。
「何もしてないんだろ?ならいいよって」
「笑太君。。。」
「ホントはさ、誕生日だって忘れてたんだ。夜になっていきなり思い出し
て慌ててさ、呼び出されたフリしてお前のうちに行ったんだから」
目尻を指でぽりぽり掻きながら、照れたような表情で云う。
「俺も悪い、だろ?」
「。。。ごめんなさい」
「もういいよ。おあいこってことにしよう」
項垂れた細い顎が掬い上げられ、唇が合わされる寸前に。。

「あーコホン!イイ雰囲気のとこジャマして悪いんだけど」
割って入ったのは柏原で、その後ろで藤堂が目を皿みたいにまん丸にして
いた。
「今まだ勤務時間中だから、それ以上は後でにしてくれる?」
ここは諜報課一斑のバンの中で、他の面々は赤面して目を逸らしながら
も2人の会話に聞き耳を立てている。。。そんな状態だった。
「こっちも仕事になんないデショ!も〜っ!」
御子柴と式部は目を見合わせて、同時に吹き出した。
「あは!悪ぃ悪ぃ」
「ごめんごめん〜!」
「ったくぅ。。。ま、仲直りしてめでたしめでたしだけど」
柏原がPCに向かって座り直し、口を尖らせる。
「次の現場着いたから。任務に集中してくれる?」
「了解!」
笑みを浮かべて同時に敬礼してみせた2人と、呆然としたまま手を引か
れるようにして連れて行かれた1人を見送って、
柏原がはぁぁ。。。と溜め息をついた。
「仲良き事は良き事哉、ってか?ちょっと妬けるけどね。。。」
柏原は誰にも聞こえないようにそう呟いてくすっと笑ってから、3人が無事
に戻ってくるのを祈った。


                 ―The end―






P.S.
これはサブタイトルにある通り
“No Matter What Happens”と、
そのサイドストーリィである
“an Undeniable Fact”という話の、
つづき、みたいな話です。
笑太は本当に清寿の誕生日を忘れていたのか?
その辺りが消化不良な感じだったので(笑
ヴィクトリア女王様。。
リクエストいただいたのは1作だったのに、
結局3部作みたいになってしまいましたm(_ _)m


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