―No Matter What Happens―


誰がその肌に触れたか、よりも、
何故その肌に触れることを許したかが、気になって、
お前の顔を真っ直ぐ見ることが出来ない俺が居た。。。


指にまとわりつく髪と一緒に頭を掴み、口元に、俺自身を
突きつける。
「舐めろよ」
苦しそうに眉根を顰めて、清寿は固く目を閉じた。
唇の隙間から伸ばされた紅い舌先が先端に恐る恐る触れ、
撫でるように舐め始めた。
快感に砕けそうになる腰に力を入れて、薄く開いた口の中
へ、猛っているものを深く押し込む。
「。。。っ」
突然奥まで突き上げられて吐きそうになったのか、清寿の
顔が苦痛に歪み、全身が紅潮した。
それでも頭を掴んだ手を離してやらずに、咥えさせ続ける。
「んーっ、ん、んーっ。。。っ」
俺の身体を押し返そうとする腕の力が弱くなってゆく。
俺の力の方が強いと分かって、抵抗するのを諦めたようだ。
口中で、精を放つ。
最後の一滴まで嚥下する咽喉の動きを見届けて、きれい
に舐め取ったのまで確認して、頭から手を離す。
はぁはぁ、と、荒い呼吸(いき)をして、清寿の身体がバスル
ームの床に崩れ落ちた。
髪の間から覗く白い首にくちづけると、どくどくと強く早く脈打
っている鼓動が聞こえるような気がした。
後ろから手を回し、前を探る。
「舐めただけでイクなよ。お前そんなにやらしかったっけ?」
息が整う暇も与えずに腰を抱き上げて、背後から貫く。
「―――っ!」
濡れていたとはいえ解されもせずに穿たれて、声にならない
悲鳴が上がる。
俺から逃れようと悶える身体を上から抑えつけるようにして、
犯し続ける。
「あ。。。あっあん。。。っ、ん。。。んっ。。。」
苦痛の声はやがて甘ったるい喘ぎ声に変わり、繋がって
いる部分からは湿った音がぐちゅぐちゅと漏れだした。
わざと高く音を響かせるように、激しく抜き挿しを繰り返す。
「や。。。っ。。。あっ。。。あっ。。。やぁっ」
俺が達すると同時に、清寿も達して意識を失った。

ベッドの上で覚醒した清寿は、その顔を覗き込んでいた俺
のことを、怯えた目で見た。
「なんか怖い。いつもの笑太君じゃない」
視線を逸らすとぎゅっと目を閉じて、身体を包んでやってい
たバスタオルの中で子供みたいに手足を小さく縮めた。
その仕草が、余計に俺をイラ立たせた。
肩を掴んで力任せに仰向けにして、喉元に顔を埋める。
乱暴に肌を吸うと、鬱血した痕が何個か残った。
「やっ。。。やだっ!やめ。。。っ」
唇を唇で塞いで舌を絡め、抗う声を封じる。
すると観念したように、清寿の身体から力が抜けた。
「こんな乱暴にされても感じんだ?誰に教えてもらった?」
身体の中心で勃ちあがっていた茎を捉えて扱くと露が溢れ
出して流れ落ち、シーツに染みを作った。
「あぁんっ。。。」
甘い吐息が漏れて、切なげに腰が揺れる。
膝に手を掛けて開かせて、その間に身体を捩じ込む。
太腿の付け根の内側に手が触れた時、清寿の身体が
びくっと大きく跳ねた。
「なん。。。で笑太く。。。ん。。。どうし。。。て。。。?」
今度は前から挿入して、最奥を突く。
「あーっ。。。あぁ。。。っ。。。あんっ」
背中と首筋が大きく反らされて、いつになく乱れた声で
清寿が喘ぐ。
「あいつとする時もそんな声出すの?」
両手首を押さえつけ、耳朶を噛むようにして、囁く。
「あいつとしている時もそんな顔、すんの?」
すぅ。。。と一瞬息を詰めて、清寿の顔が強張った。
それを見て、頭にかーっと血が上る。
「いやぁっ。。。笑太くん。。。っ、しょうた。。くんっ。。。」
今までしたことないくらい乱暴に、中を掻き混ぜる。
苦痛と快感の狭間で揺れる清寿の顔を、冷ややかに
見下ろしていた。
「なぁ、イク時誰の名前を呼ぶの?あいつとしている時
はあいつを呼ぶの?」
「ちが。。。っ、笑太。。。く。。。んっ。。。だけっ。。。」
弾けそうになった茎を、強く握り締める。
整った顔が、もっと苦しげに歪んだ。
「あぁ。。。んっ!」
襞がきゅっと締まって意識が持っていかれそうになるのを、
激情を持って、耐える。
「。。。笑太くん。。。いかせ。。。て。。。っ。。。」
何回か繰り返しているうちに、涙と唾液でぐしょぐしょに
なった顔で清寿が懇願した。
こんなに淫らに乱れているのに、それでも綺麗だと思う。
愛しい、とさえ思う。
だからこの肌に触れ、この声で呼ばれた者を許せない。
「好き。。。なの。。。は、笑太く。。。ん。。。だけ。。。っ」
清寿の掠れた声が、俺の醜い独占欲を解き放つ。
「。。。っ」
自分が昇りつめた瞬間に、茎を握っていた指を弛めた。
身体の中に留められていた熱を放ち、意識を手放して
しまった清寿の身体を強く抱き留める。


清寿が最後に叫んだのは、ちゃんと俺の名前だった――。


噂好きな人間というのはどこにでも居る。
特刑部は大所帯なので、そんな人間は何人も居る。
 “その噂”は思いもかけないところからもたらされて、俺の
プライドを傷付けた。
清寿が誰に抱かれようが清寿の勝手だ。
一人が嫌だというのを知っていて、それでもいつも一緒に
居てやれないんだからしょうがない。
分かっているだろう?と口に出して自分に云い聞かせてみ
ても、抑えきれない劣情。
真直ぐに顔を見れない日が数日続き。。。
とうとう今夜、肥大化していた醜悪な感情を抑え切れな
くなって、衝動的に、犯すように抱いてしまった。


自己嫌悪で目の奥がクラクラする。。。


こちらを向いている形の良い肩甲骨と、程良く筋肉が乗っ
た肩の線を、先刻からまんじりともせずに見詰めていた。
ほんの少し前までは激しく乱れていた呼吸が今では静かな
寝息に変わっていて、その緩やかなリズムを追っていた。
俺の名を呼ぶ声が耳に残っていて、胸が苦しくなる。
白い肌からベッドの上へブルーブラックのインクをこぼしたよう
に広がり落ちる艶やかな髪を、一筋掬い取って唇を寄せた
ら、清寿が寝返りをうったのでどきっとした。
上を向いた寝顔を見て、また苦しくなる。
「。。。笑太君、眠れないの?」
眉を顰めて目を閉じた途端に、清寿が話し掛けてきた。
寝ているとばかり思っていたので、またどきっとする。
「眠ってなかったのか?」
驚いた俺の顔を映していた瞳が、ゆっくり閉じられる。
「ううん。寝てた。夢見てた。笑太君が居なくなっちゃう夢」
ふぅ。。。と息を吐き、胸郭が静かに上下する。
「ああ、良かった。笑太君、傍に居てくれた」
吐息のように呟いて、ふわりと柔らかな笑みが浮かぶ。
「清寿。。。」
腹の上で組まれていた手が、するっと身体の横に滑り落ち
た。再び眠ってしまったらしい。
あんなに酷い抱き方をしたのに、お前は俺を探すのか?
こんな俺を求めるのか?
上を向いた手のひらに手を重ねると、ぎゅっと握り返された。
その温かさに泣きそうになる。
「ごめん」
勝手にイラ立って酷いことをしたのは初めてじゃない。
でもいつも、お前は俺を許してくれて。。。
それに甘えている俺が居る。
「ごめん。。。」
何度も声に出して謝っているうちに、涙が出てきた。
朝になったら、優しくしてやろう。
何事も無かったかのように微笑んで、おはよう、と起こして
くれるだろうお前を強く抱き締めて。
そして優しく、許してやろう。。。


             ―The end―






P.S.
ヴィクトリア女王様に捧ぐ。。
リクエストありがとうございました!
“嫉妬する御子柴”でございます。
なんか痛い話になっちゃって。。
すみませんっm(_ _)m
御子柴が嫉妬した相手が誰か?
それはご想像におまかせします。。

。。と、云いつつ、
清寿Sideの話を書いてしまいまいした(汗
“an Undeniable Fact”
この“No Matter〜”と対になる話です。。


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