―20水槽の中で


「ほら、はらへってんだろ?」

どんなに激しい交尾の後でも決して忘れない、
というのはありがたい。
後の処理のついでであっても、だ。
それはもう習慣になっているようで、
交わり終わって相手が眠ってしまったのを確かめて、
口で口を軽く舐めてから徐ろに立ち上がり、
こっちへ近寄ってくる。
「そこからみてるのってどんなかんじ?」
どんな感じ?と云われても。
「な、おれたち、しあわせそうにみえてる?」
こつん、こつん、と、指で弾く振動が伝わってくる。

“しょうたくんのめははれたそらのいろなんだよ”

飼い主殿がよくそう云っていた。
だから、今こちらを覗きこんでいる目はきっと
“はれたそらのいろ”なんだろう。
そもそも“はれた”も“そら”も“いろ”も、
何の事だか分からない。
“ことば”だけ少し分かるのは、
ここに来た日から、
まだもっとずっと身体が小さかった頃から、
沢山話し掛けてくれたから。
瞼が無いから目を閉じるということが出来ない。
眠れない夜、
悪夢を見て跳ね起きた夜、
飼い主殿にはこちらが寝ていても分からないから、
開きっぱなしの目を見ながら話し掛けてきたり、
目から水を出したりしていた。
最近はそんなことも無いから、
きっと“しあわせ”なんだと思うと、
いつも餌をくれるお礼に伝えてやりたい。

こぽ。

「まだたりない?もうすこしくう?」

口を開けたらそう云われた。
まぁそんなもんだろう。
いつもより多めに餌をもらって満腹して、
もう一度口を開いて呼吸(いき)を吐いてみた。

“あさ”になると明るくなって、
飼い主殿が起きてくる。

「えさ、いらないの?」

今は要らない。
暗い間にお腹いっぱい貰ったから。
「しょうたくん、えさっていつもよるにあげてるの?」
そう、いつも“せいじゅ”が眠った後で、
安心した顔で微笑みながら餌をくれているよ。
だからあなたと同じくらい、
“しょうたくん”が居てくれると嬉しい。
もう少ししたら泳ぎ回るのがキツくなるから、
この水槽を大きいのに換えてくれたりしたら、
もっと快適なんだけど。


―緑の日々―



水槽。。と云えば、
清寿宅のアロワナ君の出番。
と、云うか。。
他に浮かびませんでした(汗
きっと名前は無い←断言(笑
清寿ってそういうのに
興味無さそうだから。。
しかしそんな“ヤツ”も、
人間とは違う言語で
何か考えてるかも。。
という話。


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