―Reach the Heart―


「。。。っ。。。あぁっ」
艶めいた息が放たれる。
その恥らうように抑えた声量が気に入らなくて、御子柴は
より激しく、式部の繊細な場所を指で攻め立てていた。
「だめだよ。。。こんなとこでっ。。。」
壁際に追い詰められるように立たされている式部は、浅い
呼吸の少しの隙に、途切れ途切れに非難する。
しかし御子柴は指の動きを止めること無く、執拗に式部の
中を掻き回し続けていた。
「っ。。。誰か来たら困るでしょ?」
「俺は困らないよ」
即座に返された返事を聞いて、式部は御子柴を窘めるの
を諦めた。
言葉のひとつひとつにイラだちが纏わりついていてイタい。
本当は御子柴の顔が見たくて腕を弛めるのに、身体が離
れそうになる度に強く抱き寄せられてしまう。
「お前は困る?」
耳のすぐ傍で発せられた探るような口調の言葉に、式部の
肌が粟立った。
「う。。。うん。ちょっと困る。。。かも」
何か云う度に激しさを増してゆく攻めに反応して、式部は
御子柴の背中にしがみついてしまい、その表情を確かめる
ことが出来ずにいた。
「なんで?俺より体裁のが大事?」
「そう云うんじゃないけど。。。あ。。。っ!ん。。。う。。。」
御子柴の指が、彼しか知らない式部の身体の奥にある、
一番敏感な一点を捕える。
閉鎖された空間に声が響いて大きく聞こえ、式部は恥ず
かしさに息さえも一緒に飲み込んだ。
「もっと声、聞かせて。。。いつもみたいに俺を呼んでよ」
御子柴は式部の耳元に頬を寄せて囁いた。
しかし腰に回された片腕で支えられ、どうにか立っている
式部には余裕が無くて、ただ喘ぐだけの荒々しい呼吸音
だけしか聞こえてこない。
「ねぇ、呼んで」
御子柴はねだるように、自分に委ねられている白い首筋
や肩に唇を這わせた。
肌に唇が触れる度、しなやかな身体に小さな漣のような
震えが起こる。その波が起こると共に式部の花芯は痙攣
するようにヒクついて、御子柴の指を締め付けてきた。
「ちゃんと感じてんじゃん。我慢するなよ」
「はぁ。。。あんっ。。。笑太く。。。ん」
式部の唇が、御子柴の耳朶を甘く噛む。
「俺のこと、欲しい?」
花芯から引き抜いた濡れたままの指で、御子柴は式部の
胸の突起を摘んで転がす。
その時ほんの少しだけ身体が離れて、やっと見ることが出来
た御子柴の顔はどこか傷付いているような、ツラそうな表情
をしていて、式部は見ていられなって自分からくちづけを求
めてしまった。
唇が重ねられ、貪るように舌や口中を蹂躙される。
乳首を玩んでいた指が静かに下腹部に滑り下りて、式部自
身を捕らえる。
既に大きく立ち上がり、先端から溢れ出していた淫液で濡れ
ていたそれを手の平で包むようにして、御子柴はゆっくりと扱
きだした。
「あ。。。やっ。。。やだ。ダメだって、ここじゃ。。。」
涙が粒になって、式部の頬を流れ落ちた。
「今さらだろ?こんなになっといて」
その涙を舐め取るように舌先で掬ってから、御子柴は式部
の片足を持ち上げるようにして、肉の楔を挿入した。
「はぁっ。。。うっ、ううん。。。っ」
充分に解されていた花芯は、御子柴自身を拒むことなく受
け入れていった。
「笑太くん。。。っ!はぅ。。。うっ」
御子柴は式部の背中を壁に押し付けるようにしてもたれか
けさせて、最初は緩やかに、徐々に奥まで進入していく。
「んっ。。。っ」
五pの身長差で持ち上げられるように、いつもより深く刺し
貫かれて、式部が大きく喘ぐ。
離れそうになる式部の腕を肩にしっかりと掴まらせると、花芯
と茎に同時に与えられる激しい快感に翻弄されたの指先が、
御子柴の肩先に食い込んできた。
口を固く閉じて喘ぎを飲み込もうとしている式部の唇を捕ら
え、心まで繋がるような深いくちづけを交わす。
「んっ。。。清寿っ」
縋り付いてくるような唇と、纏わりついてくるような肉襞の感触
に蕩かされるように、御子柴は式部の中へ苛立ちを放った。
「ああ。。。っ!笑太くんっ。。。僕も。。。」
突然身体の最奥に叩きつけられた衝撃に式部の背中が細
かく震え、ぴたりと合わされた身体の間にも熱が生じた。

「何があったか、訊かないの?」
御子柴の言葉に、ゆっくりと式部の瞳が開かれた。
涙で濡れた瞳はいつもより鮮やかな紫色に見えて、御子柴
は息を飲んだ。
「訊いて欲しいなら訊くけど。話したくないなら訊かない」
「清寿。。。お前はそれでいいの?理由(わけ)も分からずに
こんな風にされて。。。」
式部を責めているのに自分が責められているような表情をし
ている御子柴を見て、式部は綺麗に微笑んでみせた。 
「とても嫌なことがあったんでしょう?すぐに忘れたいような」
語尾が吐息のように淡く、御子柴の耳元で溶けていった。
真夜中に呼び出され、一つ任務をこなして部長室に報告
しに行って帰ってきた御子柴は相当苛立っていて、更衣室で
待っていた式部の顔を見るといきなりくちづけてきたのだ。
「笑太君、本当は強引にこんなことするひとじゃないもん。
理由なんていい。何も訊かないから。。。イヤな事を全部僕
の中に吐き出して忘れちゃって。。。」
その甘い言葉の余韻を逃すまいとするかのように、御子柴は
式部の頭を抱き寄せた。
「ごめん。。。清寿。。。」
御子柴は小さな声で、搾り出すように呟いた。
「なんで謝るの?僕は嬉しいのに」
予想もしていなかった答えに、御子柴は真意を質す。
「嬉しい?」
「うん。笑太君に必要とされてるなぁって。。。勝手に実感し
ちゃったんだ」
式部がふわりと微笑みながら、照れくさそうに云った。
「自己チューすぎ?」
もう一度改めて、御子柴は式部の身体を強く抱き締めた。
式部はそれに応えるように、御子柴の背中を強く抱き返した。
「俺、弱くて。。。さ」
「うん。知ってるよ」
啄ばむように、式部は御子柴の顔のあちこちに唇を当てる。
「そんなところも何もかも、これからも受け止めてあげるから」
壁に寄りかかり、身体を御子柴に支えられてやっと立っている
様子の式部が、花のような微笑みを返す。
だが、身体を愛撫しだしそうになった手には、身を捩って抵抗
してみせた。
「もうここではイヤだよ。身体が痛いから」
ほくろのある口元を歪めて、御子柴は申し訳なさそうに式部
の顔を覗きこんだ。
「。。。ごめん」
「そうだね。それは“ごめん”で合ってるかな」
御子柴の顔にやっと笑みが浮かんだ。
「帰るか」
「どっちに?」
「もちろんお前のうちに」
名残惜しむように身体を離し、御子柴は式部の体を清めて
やった。
「今からじゃあまり寝る時間ないね」
着替えも終えて、御子柴がにやりと笑った。
「朝までにもう一回くらいできるだろ?」
式部は大きな溜息をつき、困ったような笑みを浮かべた。
「寝ないんだぁ」
「冗談だよ。ちゃんと話すから。。。俺の話聞いてくれる?」
一緒に居られる時間が勿体なくて眠ってなんかいられない。
お互いが同じことを考えているという確信が、二人にはあった。
「清寿、ホラ、早く帰るぞ」
御子柴は式部の肘を掴んで急かすようにして、特刑隊員用
の更衣室を後にした。


                  ―The end―






P.S.
なんだか。。
ただえっちしてるだけの話、に
なってしまいました。。(汗
BGMがGacktの“RETURNER”
だったから?かな?(^.^;;


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