―Take An Oath―
               after"Li Lium"


「。。。なにそれ?」
本当はその動作の意味なんかすぐ分かったけれど、それに
それがどんな意味を持っているかも分かったけれど、それが
悔しくて、少しだけ嫌そうな顔、を作る。
夕食の後片付けを終えてキッチンから戻ってきた僕を見て、
ベッドの上で足を投げ出して座っていた笑太君は、膝を揃
えて座り直し、膝の上をぽんぽんっ!叩いてみせた。
「来いよ、清寿」
そして僕の質問を聞いて、もう一度同じことをやってみせる。
「なんで膝の上?」
分かってるだろ?と云うような顔で、僕を見返してくる。
「ここはお前のもんだよ。他のヤツは座らせないから」
口の端をほんの少し上げただけの、優しい笑顔。
けど、ちょっと微妙。。。
「。。。どんな格好で乗れって云ってるの?」
「お好きなように」
おずおずとその膝の上に、見詰め合うように跨って座ってみた。
笑太君は、ふっ、と笑ったかと思ったら、すっと僕の腰に両手
を回してきて、急に手前に引き寄せた。
「あっ?!」
バランスを崩しそうになって、目の前の身体にしがみつく。
しがみつかれた笑太君は嬉しそうに笑って、僕の頭をぎゅっと
抱き締めた。

後頭部に触れている大きな手のひらが熱い。。。

これ、僕を甘やかしてくれてるんだよね?
今日の処刑でいつまでも精神的ダメージから抜け出せなかった
僕を、羽沙希君の前では強がってみせてしまう僕を気遣ってく
れてるんだよね。。。
これが僕に対する精一杯の思い遣りだっていうのは痛いくらいに
分かるけど、もう少しカッコいいやり方あるんじゃないの?
。。。可笑しくて、でも嬉しくて、泣きそうになる。

僕の耳は笑太君の左胸の上にあって、強く押し当てられている
ので、胸郭を介して鼓動が聞こえていた。
目を閉じて、拍動を数えてみる。
少し早い。緊張してるのかな?
こんなことして!と思ったけれど、笑太君なりに緊張してたんだ、
と、思ったら、愛しくなった。
しばらくじっとしていたら、頭を押さえていた手が離された。
ゆっくりと視線を上に遣ると、青い瞳に真正面から捉えられてし
まった。
「誰も見てないんだから、もっと甘えていいぜ」
思わず失笑してしまう。
「視られてるかもしれないじゃない?目の部屋で」
笑太君はこめかみの辺りを指先でぽりぽり掻いて、ちょっと困った
ように笑った。
こんな不器用なところが、もっともっと愛しくなって。。。
「それにもうこれで充分だよ。ありがとう、笑太君」
腕を伸ばして笑太君の首に回し、今度は僕がその身体を抱き寄
せた。そして、柔らかいブラウンの髪に顔を埋めてみる。
「笑太君のニオイがする」
くんくん、とにおいを嗅ぐ音を耳元で聞いて、笑太君はくすぐったそ
うに肩を竦めた。
「まだシャワー浴びてないから。。。臭い?」
髪で隠れている首筋を、頬で触れる。
「ちょっとだけ、オトコの人って感じのニオイがする」
僕の身体を支えるように背中に回されていた腕に、力が籠もる。
「今、俺、オスの気分だから」
笑太君は照れ臭そうに笑った。
「堪らなくお前が欲しい。そんな気分」
今度は笑太君の鼻や唇が、僕の髪や首筋を撫でてきた。
「いや?」
イヤな訳ないじゃない。
僕だってさっきから笑太君が欲しくてしょうがないんだから。。。
「もっと僕を甘えさせて。。。」
形の良い耳に、息のような声で囁いてみる。
唇が唇を求めて差し出されてきて、それに応える。
裸にされて、身体中を撫でられる。
頬から首を滑り降り、肩から背中へ、そしてお腹の傷痕まで。
僕の全てを手で記憶しようとでもしているかのように、笑太君の手
が僕の全身をなぞってゆく。
唇は占拠されたままで、僕の両手は笑太君の頭を抱き締めること
しか出来ない。
唇が、舌が、息が、肌が熱くて融かされてしまいそうだ。
「ん。。。っ」
ベッドの上に身体が横たえられて、笑太君が上になった。
唇が自由になった途端に、喘ぎ声が解き放たれる。
「あ。。。ああっ。。。はぁ。。。っ。。。」
大きな声が出てしまって恥ずかしい。。。でも抑えられない。
笑太君の手が、僕の昂りの引き金を引こうとしている。
僕も手を伸ばして、笑太君自身をいとおしむ。
どちらももうこれ以上にはなれない程に大きくなってしまっていた。
「んあっ!あっ。。。ああんっ」
両足を広げられ、花芯を指で捏ねられた。
そして、身体の奥にある一番感じる所を攻めてきた。
その間にも僕の茎は笑太君の口中に含まれて、舌先で慈しまれ
ていた。
「や。。。いや。。。ぁ。。。笑太くんっ。。。」
僕は、笑太君の口の中で弾けてしまった。
感情が昂っていたせいかいつもより多く放たれた白い露が飲み下
されて、舐め取られてきれいにされてしまう。
怠いような眠いような、意識が半分飛んだようにふわふわしている
僕を見て、笑太君は満足そうに微笑んだ。
そして、僕の耳元に口をつけて、ねだるように艶っぽく囁く。
「今度は俺、甘やかして」
こくん、と、頷くと、足をぐいっと持ち上げられた。
「あー。。。んっ」
熱い肉の塊が僕の中にどんどん入ってきて、今度は内側から融か
そうとする。
「キツイ。。。気持ちいいよ、清寿」
粘膜に包まれた僕の器官が笑太君の形に変化して、動きに合わ
せて吸い付くように変化してゆく。
「笑太くん。。。もっと奥まで来て。。。」
もっと強く。もっともっと深いところまで届くように。
僕の要求のままに、笑太君は腰を激しく打ち据えてきた。

――― 大好き、笑太君。。。

言葉にはならなかったけど、口の動きで伝わったようだ。
笑太君の口の端が少しだけ上がって、微笑みの形になった。
大きく反りそうになる背中を支えられ、身体が離れないように抱き
寄せられる。
「。。。愛してるっ清寿」
笑太君の背中に漣のような痙攣が走り、僕の身体の中は急速
に熱で満たされていった。
「はぁ。。。」
その背中に縋りついたまま、目を閉じて恍惚感を味わう。

しあわせ。。。ってこんな感じだったかな。。。

脱力した身体が、体重を乗せて覆い被さるように乗ってきた。
重かったけれど離れたくなくて、少しだけ汗のにおいのする笑太君
の身体をぎゅっと抱き締めた。

テーブルの上に置いた花瓶には笑太君が持ってきてくれた白い
百合が数輪あって、強い香りを漂わせていた。
毎年この匂いを嗅ぐ度に、今日のことを思い出すだろう。
その度に笑太君に甘やかしてっておねだりしちゃうかもしれない
けど。。。その時も今日みたいに甘やかしてくれる?
「何か可笑しい?」
くすくすと漏れた笑い声と、腕から伝わった揺れを感じて、笑太君
が横を向いた。
身体を持ち上げようとしたが、腕の力を抜いてあげなかったので
無理だったようだ。
でも、顔。。。近すぎる。。。
僕の顔のすぐ前に笑太君の綺麗な顔があって、目の遣り場に
困っていたら、空色の目が細められた。
「今度は星を観に行こう。もうすぐ七夕だから」
笑みを浮かべている口元に、唇を重ねる。
「うん。約束だよ」
願い事が叶う、という星の祭り。
その前に願いがひとつ叶ってしまったような、そんな気分。
僕は笑太君の肩越しに、窓の外に広がる夜空を見上げていた。


                  ―The end―






P.S.
季節モノの方で書いた、
“Li Lium"という話の続編です。
七夕。。あるのか?と思いながら(^-^;
(これUPしたのが7月7日なもんで。。)
今夜の天気はどうなんでしょう?
BGMはGONTITIの『Super Best 2001-2006』。
癒されます。


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