―16放課後の図書室で


「はじめまして。本日第一部隊に配属になりました」

本当はこの時が"初めて"じゃなかったけれど、
きっと覚えてないと思って、そう挨拶した。
案の定、ほんのちょっとも覚えていなかったね。
「変わった名前じゃねぇ?清寿、って」
それが部下になって初めて掛けて貰った言葉。
僕は全部覚えてるよ。
この時のことも、それよりも前のあの時のことも。。。

綺麗って、男に対する褒め言葉じゃないと思う。
その時、僕は憤慨していた。
勘違いさせたのはこちらのせい。
だけど、微笑み返しただけで気があるだなんて。
僕がいつでも笑っているのはママと約束したからだ。
「綺麗な顔してるよな。髪も綺麗だしさ」
最近、教室に居る間はずっと絡んでくる。
「ホント女みたいだよな」
髪に触れようと伸ばされてきた手を、払い落とす。
赤くなった手の甲を擦りながらも魂胆丸見えの、
舐めるみたいな視線を送ってくる。
「式部、お前さ、俺とヤッてみねぇ?」
そんな事を云う為に追い駆けてきたなんて!
授業が終わって即行、図書室に逃げて来たって
いうのに、これじゃ何の意味も無い。
無視。相手にしてられない。
「ムシすんなよっ!!」
力任せに腕を引っ張られて初めて、自分の置かれ
ている状況に気付いた。
以前から僕を妙な目で見ていた連中に周りを囲ま
れていて、腕や肩を押さえつけられ、立たされた。
そして目と目で合図を交わし、どこかへ連れていこ
うとする。
抵抗することは可能だけど、出来ない。
僕は自分の願いを叶える為に第一部隊に配属
される必要がある。だから養成所を卒業するまで
主席でなくてはならない
。。。問題を起こす訳にはいかないんだ。
あと2年。ここまでずっと頑張ってきたのに。
騒がずに云いなりになれば"問題"にはならない
だろう。自分が汚れるだけで済む。
この体なんてどうでもいい。復讐さえ果たせれば。
そう自分に云い聞かせても、悔し涙が滲んできた。

「お前ら何してんの?なんか穏やかじゃなさそうだ
けど?」

俯けていた顔を上げて、声の主を見る。
1級上の先輩達の中でも一際目立つ、この養成
所始まって以来の成績を修めているという。。。
「ここ、犯罪や準犯罪行為には五月蠅いよ。ま、
これから法の番人になろうって人間を養成してる
んだから当然だけどな」
"整った顔"というのはこういう顔を云うんだろうな。
そう思った。
「ちっちゃなイジメなんかはチェックしきれてないみ
たいだけどさ。。。なぁ、それ、イジメ以上だよな?
退学になりてぇの?」
僕を押さえつけていた数人が、バツが悪そうな顔
をして手を離し、後ずさるように離れて行った。
「年頃のヤロー共をこんだけ集めといて、男女別・
交際禁止、なんてすっから飢えるんだよな」
逃げてゆく奴らを嫌そうに睨みつけてから、青い瞳
が僕に向けられた。
「お前、式部、だっけ?1学年下の?」
なんで知ってるの?!
動揺しながらも、こくこく、と頷いてみせる。
「綺麗な顔してんだからさ、油断すんなよ」
この人に綺麗と云われても、嫌な感じがしない。
「あ、ありがとうございますっ」
「実は俺も同じことされそうになったことあるからさ。
バカは考えること同じなんだよ」
そうか。。。この人も綺麗だもんな。。。
じゃあな、と、片手を上げて笑った顔が眩しくて、
その後ろ姿が見えなくなってもずっと、去って行っ
た方を見詰めていた。

それが、御子柴笑太との出会い、だった。

「あ?養成所の図書室での事?覚えてるよ」
覚えてる?と訊けたのは、組んで数年経ってから。
「下の名前を知らなかったから三上さんに紹介さ
れた時、へ〜!って思っただけで。。。
悪いけど、俺、めちゃくちゃ記憶力いいんだケド」
「ごめん。絶対に忘れられてると思ってた」
くすくすって笑われた。呆れられた。。。かな?
「そんなだから襲われそうになるんだって」
油断すんなって云っただろ?そう呟いた笑太君に
ぺろっ、と、頬を舐められてしまった。。。


―Time Passed Me By―



うわぁ。。
ショートショートじゃなくなって
しまったぁ〜っ( ̄口 ̄)
しかも捏造多すぎ??
すみません。。(涙


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