―03真っ暗な部屋の中で


抱き寄せられて、息を殺す。
「。。。クソッ」
激しい鼓動が聴こえてる。
押し殺した息遣いを感じてる。
熱いくらいの体温が伝わってくる。
真っ暗で何も見えなくても、
君と僕が生きている証がある。
「笑太君。。。」
「しっ!」
大きな手で口を覆われて、
声を封じられる。
ぴりぴりと張り詰めた空気。
手袋の布越しにでも、
手のひらが汗ばんでいるのが分かる。

第5セクターにある廃ビルの一室。
夜毎に灯りが点る部屋があってさ、
そこがアヤシイんだよね。。。
と、柏原班長が云った。
彼の勘は大概当たる。
だからこそあの若さで諜報課第一斑の
班長を任されているのだから。
昼は無人なのが確認されていたので、
夜になって作戦開始。
「くれぐれも気を付けて」
出ようとした間際、声が掛かる。
「“灯り”が点くっていっても暗いから」
現場に着いて、驚いた。
灯されていたのはロウソク1本。
暗いなんてもんじゃない。
真っ暗だよ。。。
良くこんな光を見付け出したものだ。
気配を殺して室内を探索していたら、
いきなり背後から発砲音がした。

激しい衝撃。
防弾チョッキ越しでも失神しそうになる
くらいの。

前のめりに倒れる途中で、伸びてきた腕
に抱き留められた。
短い沈黙の後、別の発砲音と衝撃。。。
これは笑太君が片腕で僕を支えながら、
もう片方の手でデザートイーグルを発砲
した時のもの。
その音と振動がダイレクトに伝わってきて、
三半規管が掻き混ぜられてくらくらした。
「うっ。。。」
両手で口元を押える。
「お前さぁ。。。俺が撃った反動で吐きそう
になってどうすんだよ?」
先刻までの緊張感を微塵も感じさせない、
のんびりした口調。

処刑、無事に終わったんだね。。。

「違うよ。。。これ、ツワリ」
「え。。。ええっ?!」
「あは!焦った?」
「うっ。一瞬。。。」

真っ暗な部屋の中で、
血と死のニオイが漂う中で、
強く強く抱き締め合って、
互いの生命(いのち)を確かめる。
共に生きていけるなら
それ以上何も望みはしない。。。


―Beautiful World―



ショートショートでも
基本CPは御子式です(^-^*
羽沙希君。。
そのうち君の話もちゃんと
書くからね。。(汗


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