―Chocolat Chocolat―


くんっ!

笑太君の指が伸びてきて、僕の頭を自分の鼻の近く
まで引き寄せて、匂いを嗅いだ。
「なんか甘い香りがする」
くんくんっ。
「そう?」
あまりに近付いて匂いを嗅ぐもんだから、唇が髪に触っ
ている。
「うん。朝からずっと気になってたんだけど」
ちゃんと出勤前にシャワー浴びてきたのに。。。
一日任務をこなして帰るところなのに、まだ匂う?
自分で髪を一筋持ち上げて嗅いでみても良く解らない
のに。。。なんでこういう時だけ鋭いかな。。。
羽沙希君が気を利かせて、と云うか、戸惑った顔で、
急いで着替えて慌てて帰って行ってしまった。
「清寿、これ、何のニオイ?」
「ナイショ」
なんだよ〜!と口を尖らせた直後、にやり、と笑い、
普通の顔に戻って、しゅるっ、と、ネクタイを外した。
自分の横に立ち、同じくネクタイを外そうと頚の後ろに
回していた僕の両手首をいきなり掴んできて。。。
え?何??と思った一瞬の間に、両手を縛り上げら
れてしまった。
「。。。!」
唇を塞がれて声を封じられ、くるっ、と、身体を回され
て、ロッカーに背を預ける向きにされた。
僕の手は頭の上で笑太君の片手に押さえつけられて
いて、完全に拘束されている状態。
笑太君の方が力が強いから、抵抗しても無駄。
分かっているから諦める。
「なんかこの香り、そそられる」
頬から唇へ、髪から首筋へ。
くんくんニオイを嗅ぎながら、舐めるようなくちづけをしな
がら、ワイヤーを仕込んだカフスを2つ共取ってしまうな
んて。。。やっぱり器用なんだね。
なんて感心してる場合じゃなくて。
「笑太君、なんでこんなっ!?」
制服のボタンが全部外されて、シャツの前まで一気に
開かれた。
「や。。。ぁんっ!」
こりっ、と、胸の突起を甘噛みされて、舌先で転がされ
ると堪えきれず、甘い声が漏れてしまった。
もう片方は指で弾かれて、捏ねるように弄られて、尖っ
て、腫れ上がってるみたいに感じる。
「たまにはこんなのも燃えない?」
楽しそうに口元のホクロを上げるように笑って云う
けれど。
「やだ。燃えない。。。」
肌に軽く触れて滑らせるだけのような愛撫でこんなに
感じてしまうのは縛られているから。。。かな?
力が抜けて自分の体重が支えられず、ずるずると、
背中をロッカーに擦るように、身体が滑り落ちていく。
「じゃ、ちゃんと自分で立ってろよ。腰、砕けてんぞ」
座りこみそうになっている僕の腰を抱きかかえると、
自分も屈みこむようにして、やんわりと床に下ろして
くれた。
そのどさくさに紛れて下半身に履いていたものを全部
脱がされてしまったけど。
「強がってないで、イイって、云えよ」
全身に、くちづけが降ってくる。
「やだ。。。普通がいい」
「こんなに前、溢れさせて、後ろはとろとろにしてん
のに?」
自分でも恥ずかしいくらい溢れさせていて、濡らして
しまってる。
「やっ。。。」
笑太君は僕の茎を捕えて、根元から先端まで、横か
らくちづけるように、優しく唇で触れていく。
もう片方の手の指が、花芯に侵入してきた。
指が抜き挿しされる度、指の関節が入口を潜る度に、
どんどん身体が熱くなる。
敏感な部分に笑太君の唇が、ちゅっ、ちゅっ、と音を
立てて触れる度に、きゅうきゅうと指を締め付けてしま
った。
「気持ちイイ?」
「ん。。。っ」
「俺のこと、欲しい?」
くんくん、と、僕の髪に残っているらしい香りを鼻を鳴ら
して嗅いでから、僕の茎の先端を舌先でぺろぺろと、
嬲るように舐ってきた。
前から思っていたけれど、笑太君ってこのニオイを嗅ぐ
と意地悪したい気分になるみたい。。。
「お前の嫌そうな顔って、萌える」
こんな風にされるのはあまり好きじゃない。
「好きだよ、清寿」
だけどそんな嬉しそうな顔されると、拒めない。
「笑太君、お願い。。。手、外して」
いつもはカフスに護られていて無防備になることの無い
手首に直接巻かれたネクタイが、食い込んできている
ような違和感がある。
「だめ」
「縛られた跡、残っちゃう。。。」
「いつもカフスしてるとこだろ?隠せるよな」
笑太君は、にやっ、と笑うばかりだ。
逃れようと上半身を捩ろうとしても、大きく開かされた
足の間に笑太君の身体が挟まっていて、閉じることも
出来ない。
「おねだりしてみろよ。挿れて、って」
口調は軽いけど、目が本気。
きっと僕がねだるまで許さない気だ。。。
「笑太君の為だったのに。。。」
腿を立てて、笑太君に擦り付けるようにした。
「ん?何が?」
「もういい、教えない」
気になっているみたいだけど、意地悪のお返し。
「でも、気持ち良くさせてくれたら教えてあげる」
肩の上に担ぐように、足が高く持ち上げられた。
恥ずかしくてぎゅっと目を瞑っている間に、笑太君が
僕の中に入ってきた。
「ふっ。。。あ。。。ああっ。。。あっ」
呼吸に合わせてゆっくりと進めてくれて、奥まで入った
ところで一旦止まって、髪を撫でてくれた。
「動くよ。いい?」
今までヒドいことしていたクセに。
どうしてここでそんなに優しくするの?
「キツい?やだ?」
潤んだ瞳で見詰め返す。
「大丈夫。いやじゃない」
これで許しちゃう僕も甘いのかもしれない、と、いつも
思うんだけど、愛しくてしょうがない。
唇が重ねられた時、縛られたままの腕で笑太君の頚
を捕える。
肩に肘をついて後頭部に手を当ててホールドしたら
笑太君は、瞬間、驚いたような表情(かお)をしただけ
で、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべた。
微笑み返しながら締め付けてみたら、熱の塊が中で
容積を増したみたいだった。
「あっ。。。いいっ。。。気持ちいいっ」
熟れたみたいに敏感になっている肉襞を深く激しく擦
られて、我を忘れて声を上げてしまった。
「やっぱいつもより感じてるじゃん」
「。。。バカ。もうイヤだか。。。ら。。。あっ!」
くっ、と、笑太君が短く息を詰めたのと同時に、僕も
達していた。

やっと手首の拘束が解かれてほっとしていると、頚の
後ろを持たれて頭を引き寄せられた。
額の生え際辺りに鼻と唇を押し付けるようにして、くん
くん、またニオイを嗅いでいる。
「で?このニオイってさ」
。。。まだ残ってるのかな?
「チョコレートだろ?」
呆れた。。。分かっていたんじゃないか。
「だってバレンタインだもん」
「俺へ?手作り?」
私服に着替えさせてくれながら、笑ってる。
「笑太君、いっぱい貰ったじゃない?」
腕を引いてもらって立ち上がる。
「お前だって同じくらい貰ってんだろ?」
全部持って帰んなよ、と、柏原班長がぷんぷんしながら
僕のと笑太君のを別々に大きな紙袋に詰めてくれて、
各々のロッカーの前に置いていった。
それがそのまま置き去りになっている。
「お前が作ってくれたのが欲しいな。くれる?」
「ふふ。うちに来れば分かるよ」
笑太君は、ふっ、と破顔して、大きな手を僕の背中に回
した。
今日だけで何度その“本当に嬉しくて仕方ない”って顔、
見たかな。。。
そんなに僕のこと好きなら、ちゃんとあげる。
「さ、帰るか」
チョコレートのニオイで発情しちゃうって、自分で分かって
ないでしょう?それって誰のせい?
。。。なんて意地悪な質問はしないでおいてあげるね。

今夜はきっと甘い夜。

もう縛るとか、痛いのはナシでお願い。
そう耳元でこっそり云ったら、何故かまた嬉しそうに笑われ
てしまった。。。


                    ―The end―






P.S.
今回のタイトルはフランス語
“ショコラ・ショコラ”です。
バレンタインなだけに、
あまあま〜な話が
書きたかったのに。。
ちょっとだけ鬼畜系?(汗
BGMは宇多田ヒカル
“SINGLE COLLECTION VOL.1”
特に“traveling”“SAKURAドロップス”
辺りをリピートしつつ。。
08/02/05


Back