08. 目が覚めて思うこと


静まり返ったなかで、目を覚ました。

昨晩は通勤路の途中にあって前から気になって
いた小ぢんまりとしたフレンチのお店に笑太君と
一緒に行って、夕食を食べながらワインを呑んで
軽く酔って、帰宅してすぐにベッドに潜り込んだ。
どうもすぐに寝てしまった様だ。
先刻自然に目が覚めた。
久しぶりにぐっすり眠った〜という感じ。
窓からの光りも弱々しくて、部屋の中はぼんやり
明るいくらい。
まだ夜明け前なのは確実だ。
低く小さなモーター音のする方へ視線を遣ると、
アロワナがゆったりと水槽の中に浮かんでいた。
鰭も鰓もあまり動かしていないところを見ると、
彼も寝ているらしい。

こんな穏やかな朝は何年ぶりだろう。
目を閉じて、淡く弾ける泡みたいな朝の空気の
中に意識を漂わせる。

昨晩はどんな話をしたっけ?
どんな表情(かお)をしてたっけ。。?

良く笑ってたのは覚えてる。
料理が美味しいと、自分が作ったんでもないの
に自慢気に微笑んでいた顔も。
お前って何か可笑しいなってニヤッと笑った顔も。
指先が誤って触れてしまった後、照れ臭そうに
笑った時に持ち上がった口元の黒子も。
何を話したかなんて覚えていない。
何回も名前を呼んでくれた事しか覚えていない。

笑太君が、気になる。
入隊して初めて会った時からずっと。
最初は自分勝手で滅茶苦茶で良く分からなくて、
呆れながらも惹き付けられて。
今は笑太君のことを思うと不思議な気分になる。
これ、どう云ったらいいんだろう。。。

あえて云うなら。。。切ない?

近付きたい。けど、近付かれ過ぎるのは怖い。
分かって欲しい。けど、踏み込まれたくない。
触れられるとどきどきする。
けど、触れたい。触れられたい。
求めては拒み。拒んでは欲する。
頭の中がぐちゃぐちゃになっているけれど、あの時
みたいに笑太君に頭をぎゅっと抱き締めてもらえ
れば解決してしまいそうな気がする。

自分の感情を持て余す。
どう云ったらいいか良く分からない。
けど。。。

僕はきっと笑太君の事が好きなんだ。


―つづく



お題を見た時
静かな朝の光景が
思い浮かんで、
清寿のモノローグに
なりました。

こういう気持ちは
ある時ふと気付き
形になっていくもの。。
そんなイメージで。
08/08/02Sat.


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