―A Happy Our New Year's Day―


「も、だめ。のぼせる」
「わ!待て清寿っ」
くにゃり、と、脱力し、後ろに反りそうになった身体を
抱きとめて、自分の身体に寄りかけるように、顎を肩
の上に乗せてやる。
「。。。ぼーっとする。。。」
だらんと下に下がっていた腕がふわっと頚に巻き付け
られて、全体重が委ねられた。
「なんかお前。。。身体、熱い」
濡れた髪の上からでも、背中がやけに熱くなっている
のが分かって驚いた。 
「だから。。。のぼせたんだって」
良く見ると式部の全身は紅潮していて、目がとろんと
している。感じている時とは違う感じで、怠そうに瞼が
閉じられてしまった。
繋がりを解いて、肩の上に抱き上げるようにしてバス
タブまで運び、どこにもぶつけないように気を付けなが
らゆっくりと、縁に頭を乗せるようにして下ろす。
「笑太君はさぁ、バスルームだと激し過ぎるんだよぉ」
ぼわ〜ん、と、間延びしたような口調で非難された。
「だ。。。ってさ、誰にも監視(み)られてないから。。。」
「だからってさ、夢中になっちゃうんだもん」
目を瞑ってぐったりしている清寿の身体を、冷たいシャ
ワーで流して、冷しながらキレイにしてやる。
「さっきから、もうだめ許してっ、って云ってたのにぃ」
「。。。ごめん。全然聞こえてなかった。。。」
清寿の身体に籠もった熱はなかなか冷めなかった。
全身が赤く染まったままだ。
「もういいよ。笑太君のが冷えちゃって風邪ひいちゃう」
シャワーヘッドを持つ俺の手に触れてきた清寿の手が
まだ、いつに無く熱い。
「ああ。じゃ、頚に捉まって」
こくん、と、子供みたいに大きく頷いて、俺の頚に両手
でしがみついた清寿が、バスタブの中で立ち上がった。
「明日は折角、今年初めての非番の日なのに。。。
丸々1日お休み出来るかもしれないっていう貴重な日
なのに。。。」
耳元で小声でぶつぶつ云っている清寿の声を聞き流
しながら、バスタオルで全身を包み、腰を抱いて誘導
してベッドまで連れて行き、仰向けに横たえる。
「休みなんだから寝てればいい」
まだ熱を持っている額と頬にくちづけてやる。
「やだ」
「なんでだよ?俺は1日家に居てお前としてるだけでも
いいけどな。しないでごろごろしてるだけでもいいしさ」
「やだ〜っ」
清寿は俺の頚に回した腕を離さずに、駄々を捏ねるよ
うにそう云って却って力を入れて自分の方へ引き寄せた。
「。。。!」
上から顔を覗きこむようにしていたから、バランスを崩し
て清寿の上に覆い被さる格好になった。
「これ以上したら明日どこにも行けなくなっちゃうから、
やだ」
「。。。どっか行きたいのか?」
訊きながら、唇を重ねる。
「うん。初詣に行きたい」
舌で口の中を探ると、舌がそれに応じてきた。
吐き出されてくる息がとても熱くて、もっと冷ましてやりた
くなる。
「ね、行きたい。明日行こうよぉ」
うっすらと開けられた瞼の下から、まだ、とろん、として
いる紫の瞳が少しだけ覗いた。
「でもさ。俺もう我慢出来ないんだけど」
「ああ、も〜だめ!ホントに立てなくなっちゃうってば」
「大丈夫。勃ってきてるだろ」
「違うよ。その"たつ"じゃないって!」
くちづけを交わしているうちに硬くなってきていた清寿の
中心を握り込み、緩く擦って喘がせる。
「どうせもう立てないんだからさ。明日は出掛けないじゃ、
だめなのか?」
「もぅ!笑太君のそういうとこ、キライ」
「ホントにキライ?」
「うん。嫌い。ヒトの話聞いてないとこ、嫌い」
清寿の身体が、びくんっ、と跳ねた。
「はっ、あぁんっ。。。お願い、もっと優しく。。。」
切なげに眉間にシワがきゅっ、と寄って、甘い息が唇の
隙間から漏れた。
「頭ぼーっとしてるから直ぐにイッちゃいそうなんだからぁ」
感じて潤んだ、焦点が合っていないような目で、清寿
は独り言のように呟いた。
「俺は清寿のこと、好き。お前だから愛せる」
閉じられた瞼の間から流れ出した涙の粒を舐め取って、
くちづけを求めてきた唇まで舐めてやる。
「そんな事云われたら、のぼせっぱなしになっちゃうじゃ
ない。。。」
少し冷えかけていた身体が、また桜色に染まってきた。
「もっとぼーっとさせていい?」
何度もした後で、解さなくても柔らかくなっている花芯の
周りを、自分の先端で撫でるようにしながら、許しを請う。
「でも。。。明日お出掛けしたい」
「。。。まだ云ってんのか。珍しいな、そんなにわがまま云
うの」
「だってぇ。。。」
唇を尖らせて云う顔を見て、笑ってしまった。
「笑太君は行ったかもしれないけど、僕はまだ、だから」
軽く睨まれて、両頬を握られて横にぎゅーっと伸ばされて
しまった。
「痛っ!待てって。俺も今年はまだ行ってないよ」
「え?タマちゃんと。。。行ったんじゃないの?」
「そんな時間無かっただろ?ずっと一緒に働いてたんだ
から分かるだろうが」
指先の力が抜けて、頬から外された。
「。。。なんでそんな嬉しそうな顔するの?」
俺を見上げて、清寿が責めるように云った。
「うん?」
機嫌を損ねるのと分かっていても、顔が笑ってしまう。
「なんか。。。悔しいんだけど」
もう一度頬を抓ろうと伸ばされてきた指よりも早く唇を捉
えて、一気に身体も繋げた。
口では拒んでみせても、肌も、局部も、俺を受け入れて、
あっと言う間に馴染んでしまう。
「やきもち妬いても可愛いな、清寿は」
「笑太君、自信家なんだから。。。そういうとこも嫌い」
奥を突く度に清寿の背中が大きく反って、細かい震えが
全身を走る。
「あ。。。あっ。。。ああっ。。。やぁ。。。っ」
「本当に嫌い?」
「んっ。。。ホントはっ。。。好き。。。大好きっ」
一瞬痙攣して、清寿が脱力した。
その時の強い締め付けで俺も達して、中に叩きつける
ように放ってしまった。
気を失ってしまった清寿の熱い身体をもう一度抱き締め
て、唇に軽くくちづけた後、繋がりを解く。
きっとこのまま朝まで眠り続けるだろう。
冷たい水を口移しで含ませてやると、こくん、と音を立て
て飲み込んだ。
「好きだよ、清寿。誰よりも愛してやってる自信はあるん
だからな」
乱れた前髪を掻き上げると、綺麗な顔が微笑んだように
見えた。

朝になっても清寿は眠り続けていた。
仕方が無いので自分でコーヒーを淹れたが、それでも起
きてこなかった。
ちょっとやり過ぎたかな。。。でもずっと来れなかったから
我慢出来なかったんだよな。。。
少しは反省しながら頭を撫でていたら、やっと目を覚ました。
「う。。。起き上がれない。。。」
身体を起そうとして、くたっ、とへばってしまった様子を見て
笑っても、睨み付ける体力も無いらしい。
「うにゃあ。。。」
「猫かっ、って」
嫌味ったらしく、清寿はにゃ〜ん!と啼いてみせた。
「笑太君、お腹空かない?」
「よしよし。じゃ飼い主様が何か餌を作ってやろう」
「。。。飼い主。。。なんだ?」
溜め息混じりのコメントは、あえて無視する。
「飯食べたら起きれるんじゃねぇ?そしたら出掛けようか」
「そういう問題じゃないって。。。もういいや。こうやって一緒
に居られるだけでいい」
呆れたように微笑む気配を背後に感じながら、キッチンへ
向かった。


                    ―The end―






P.S.
もうお正月の時期は
終わってしまったんですが。。
新年だからって休めないであろう彼らも
そろそろ他の部隊も通常任務に戻って
お休み出来るんじゃないかと。。
なんて思ってみました(汗

初の関西イベント進出旅の間
ずっと聴いていた
山崎まさよしのベスト版から
“Plastic Soul”
という曲のイメージで。。
08/01/14


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