07. 愛する程に苛めたい


寝顔が至近距離にあっても、素肌が触れ合っていても
あまりどきどきしなくなった。
少し前までは髪を撫でられるだけで緊張したりしていた
のに、今はそんなこともなくなった。
「倦怠期かな?」
食後の片付けをしながらちょっと訊いてみた。
笑太君はなんだよそれ?って表情(かお)をして、
「それがフツーになったからだろ?」
ってさらっと答えた。
「一緒に居るのが普通になった?月の半分以上別々
なのに?」
笑顔で云ったら困った顔をしてくれたから、赦してあげ
よう。

目か覚めたら、まだ部屋の中は暗かった。
愛し合ったまま眠りに落ちてから、まだそんなに時間は
経っていないようだ。
僕を背中から抱くような格好で眠っている笑太君の腕
が腰の上に回されていて、手がビミョーなところにあった。
首の後ろに鼻の先が触れていて呼吸(いき)がかかる度
にくすぐったくて笑い出してしまいそうだ。
猫がじゃれるように頭を擦り付けてみたら、低く唸った。
でも目を覚まさずに僕のことをぎゅーっと抱き締め直して、
す〜す〜気持ち良さそうな寝息を立てた。

「まだどきどきする、かも」

小さな声でこっそり呟いてから、広い肩に頭を乗せるよう
にして目を閉じる。
この、肌に馴染んだ体温が心地良い。
こうやって裸でくっついて眠るのには慣れてきた。
これが笑太君の云う「フツー」?
それって僕の考えてる「普通」と違うのかな。。。?
そんなことを考えてるうちに、いつの間には眠ってた。

「せーじゅ」
「う、ん〜?」
「今何時?」

条件反射で、跳ね起きる。
外がもう既に明るかったので軽くパニックを起こし、枕元に
置いておいた筈の目覚まし時計を探しても何故だか全然
見付からなかった。
「あ、あれ?時計。。。どこ??」
髪の毛なんかぐちゃぐちゃにしたまんま、枕をひっくり返して
下を覗き込む。
「あははははっ!」
突然笑い出した笑太君を目を丸くして見たら、スッキリと、
大分前から起きていたような顔をしていた。
「どきどきした?」
「はぁ?そんな呑気なこと云ってるヒマ無。。。」
「今日非番」
あーそうだった!だから。。。
「目覚ましなんていらないよね!な〜んて云いながら俺の
枕の下に押し込んだの、覚えてねぇ?」
笑太君は自分の枕と壁の間から時計を引っ張り出した。
「だってこれ、笑太君を起こす為に買って貰ったはいいけど、
カチコチいう音が大きくてうるさくって」
目の前に差し出された時計を受け取ろうと片手を伸ばすと、
すっ、と二の腕を取られた。
「わっ!」
胸元に引き寄せられて、頭をぐりぐり撫で回された。
「だからって他人(ひと)の枕の下に入れるか??」
「笑太君はこんなの関係無く眠れるじゃないっ」
頭を抱えるようにされてるから、顔を上げることも出来ない。
「俺はさ、お前の寝顔見てるとまだどきどきするよ」
髪に梳き入れられた指が、頭の先から毛先までするすると
僕の身体に沿って撫で下ろされる。
「。。。いつから起きてたの?」
「30分?。。。1時間くらい前からかな?」
そんなに前から起きてたなら。。。
「起こしてくれれば良かったのに」
「起こしただろ?待ってても起きそうになかったから」
確かに。
笑太君に声を掛けられなかったら、多分まだ眠ってた。
「なぁ、清寿。コーヒー飲みたい」
「はいはい」
「でも、いいや」
腕の間から擦り抜けようとしたら、却って強く抱き取られた。

「もうしばらく、このままどきどきしてたい」

僕もこのまま、ずっとどきどきしていたい。
全身が赤く染まって、熱を持つ。
「笑太君〜腕弛めて。ちょっと苦しい」
「俺はこのくらいが丁度いいんだけどなぁ」


愛してる。愛されてる。
だからたまに苛めてみたくなる。


―End―



キスも無し。。
微エロなお題だった
ハズなのに。
ビミョーにエロなシチュですが
ギリギリ。。アウト?(汗

インスピレーションをくれた
しょぴ笑太君とススム清寿に
捧ぐ。
09/03/22Sun,


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