―Lie to me Bitter ver.
             a sequel to"Lie to me" 笑太's side. 


――― 俺はウソをつくのが苦手だ。特に清寿に対しては。

きっと俺がウソをついていることはとっくにバレているのだろう。
落ち着きがないし、行動が不穏だし。。。我が事ながら情けない。
だから、
「ねぇ笑太君。優しくしてもらいたいの?それとも放っておかれたいの?」
そう云われた時一瞬ドキッとした。

清寿から急に笑みが消え、
何か考えこむような顔になって、
常に張り巡らせている警戒心のようなものが途切れた瞬間に、
横に寝転んでいたその身体の上に跨った。
すぐに気付いてふわっと表情を和らげて、
俺に向かって両腕を伸ばしてきただけで、
決して何も訊こうとしないのはお前の思い遣りなんだろう。
そのキレイな顔に浮かんだ穏やかな微笑みが、
ベッドの上に広がったブルーブラックの豊かな髪が、
俺の欲望を掻き立てるだなんて、
きっとお前は気付いていない。
その指先が、お前を見詰める俺の唇と頬の輪郭を優しくなぞった。
それでもう俺の欲情ははちきれそうになる。

唇を合わせながら、お互いを裸にしてゆく。
服を脱がせるのももどかしく、男にしては滑らかな肌を味わう。
あ。。。
ノドがくっと後ろに反り、口が大きく開かれた。
「もう感じてるのか?」
俺の言葉で清寿の頬に朱が走る。
「誰のせいだと思ってるの?」
気の強い口調で云い返されると、もっといじめてみたくなる。
「誰のせいだと云いたい?」
んっ。。。
水面で空気を求める金魚みたいに、血の色の唇が喘ぐ。
「笑太君のせい、でしょ」
紫の瞳が涙で潤みだす。
これはお前が感じてきた証拠。
「今は笑太君以外、知らないもん」
この言葉が、傷付いて弱気になっていた俺の心の中から、
加虐的な気持ちを呼び覚ます。
それでも顔と顔を見合わせているのは後ろめたいので、
清寿の身体をうつ伏せにして腰を上げさせ、
後ろから攻めることにした。
固く蕾んだ清寿の"芯"をねっとりと舌で解すとすぐに濡れてきた。
最初の夜には確かにこんな身体じゃなかったな。。。
でも声を出すのを律するような、抑えるような喘ぎ声は同じで、
それが俺を興奮させる。
「入れるよ、いい?」
頭の後ろから囁いて、
返事を待たずにいきり立った"俺"を挿入した。
充分に濡れていなかった芯と擦れて引き攣るような感触がしたが、
それでも強引に奥まで押し込む。
清寿の背筋が上に伸び上がって細かく身震いし、
全身に力が入った。
それでも声を上げないけれど、お前は今苦痛に耐えているんだろう。
その表情(かお)が見たくて、
名を呼んで無理矢理後ろを振り向かせる。
整った横顔には乱れた髪がかかり、
悦楽でもなく、苦痛でもなく、憐憫の情を湛えたような、
そんな表情が浮かんでいた。
それを見て激情が抑えきれなくなり、
いつもより激しく、身体をぶつけるように動き出す。
「あ、笑太君。。。っ!激しすぎるっ」
荒々しい、苦しそうな呼吸(いき)の間で清寿が訴える。
「コワレちゃう。コワレちゃうよ!笑太君。。。笑太君っ」
こんな風に俺の名を呼ぶ時の、
その語尾上がりの口調が好きだって、
お前に云ったことあったっけ?
「ああっ。。。あ。。。!」
やがて苦痛から快楽へと息遣いが変化して、
清寿の身体の力が一気に抜けた。
達してしまったようだ。
一旦、まだ堅いままの"俺"を引き抜き、
清寿の身体を上に向かせて、
前から再び侵入する。
ぅんっ!
トリップしていた清寿の意識が戻り、
空ろな瞳で俺を見て呟いた。
「笑太君。。。」
もっと俺の名を呼んでくれ。
もっと俺で感じてくれ。
先刻あった不愉快な出来事を忘れるくらいに、
もっとお前を強く愛するから。。。

いつに無くあられもない声を上げながら喘ぐ清寿に更に熱くなり、
俺も快楽の波に沈んで行った。。。


「気が済んだ?笑太君」
隣で横になっている俺の髪を撫でながら、
清寿は優しくそう云った。
目を閉じていた俺は、そのまま眠っているフリをし続けた。
ふふ、と笑って俺の頬から瞼に触れながら、
清寿は独り言みたいに呟いた。
「笑太君はウソをつくのが下手だよね」
どき!と心臓が飛び跳ねる。
「仕事の時はあんなに上手くウソをつけるのに、
僕に対しては下手すぎるよ」
確かにそうだ。。。と心の中で相槌を打つ。
「でもね、一度つき通そうと思ったウソはちゃんとつき通してね」
そして寝返りをうって向こうを向いてしまった。
長い髪がふわりと鼻先に流れてきて、
その香りに包まれた。
ごめん。そして、ありがとう。
もう少しカッコ良い言葉を探したけれど、
飾り気のないこんな言葉しか思い浮かばなかった。
すぅ。。。と浅い寝息。
軽く上下する肩を見ているうちに、
いつの間にか俺も眠ってしまったようだ。


              ―The end―






P.S.
“Lies and Deals”の続編の、
“Lie to me -Sweet Ver.”の続き。。
当初の予定ではSweetとBitterが逆のハズだったんですが、
気が付いたら笑太“攻”になってた。。何故〜?(汗
BGMはalbum『MOON』 by Gackt。


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