―Lie to me Sweet ver.―
            after"Lies and Deals" 清寿's side.


――― 笑太君はウソをつくのが下手だ。

うちに来た途端に「風呂貸して」と浴室に直行して、
随分長く入っていたと思ったら、
出てきた途端に「腹減った」と準備しておいた夕飯をがつがつ食べて、
ろくに喋りもしないうちにベッドにごろんと横になってしまった。
「遅くまで本部に居たんだね。何かあったの?」
と聞いても
「何も無かったよ」
としか云わないし。
キッチンで後片付けをしていたら、
突然後ろから首に抱き付いてきて、
起きて近寄ってきた気配も感じなかったので本気で驚いた。
ぐ〜っと体重を掛けて寄りかかってきたので
「重いよ」と云ったのに離れてくれず、
結局笑太君を背負ったみたいな格好になった。
「どうしたの?」
と聞いても、
「別に」
としか答えてくれないし。
僕の耳元で犬みたいにふんふんと髪のニオイを嗅いで、
はぁ。。。と何度も溜息をつくから、
その息が首筋にかかる度くすぐったくてしょうがない。
首に回された腕に手を当ててそれを外そうともがいてみたけれど、
腕力では笑太君には敵わない。
洗い物が終わったからキッチンからリビングに戻りたかったけれど、
身動きも出来ない。
「ずっとこのままここに居る気?(笑)」
と云ったらやっと腕が少し弛んだ。
そのスキに僕は身体の向きを変えて笑太君と向き合う体勢になり、
少し俯いているその顔を隠している長い前髪を、
両手でふわっと掻き分けた。
そしたら視線がふっと横に流れて、長い睫が伏せられてしまった。

何も無かったなんてウソばっかり!
ウソをつくならつくで、もっと上手くやってよ。。。
そう思ったけど、口には出さないでいてあげる。

まだ僕の肩に掛かりっぱなしの腕を退けようとしたら、
前髪の間から青い瞳がちらっとこっちを見て、
次の瞬間には唇を奪われた。

いつもよりやけに激しいのは何故?
そんなにイヤな事があったの??
でもそれも訊かないでいてあげる。

両手に力を込めて肩を押し返し、ちょっとだけ抵抗。
そしたら意外な程あっさりと身体が離され、
傷付いたような顔をしているのは見えた。
でも僕の目をちゃんと見ようとしないし。。。
次の瞬間、
笑太君はくるりと僕に背を向けてすたすたとベッドの所まで行き、
その上に身を投げ出した。

ふぅ。。。
溜息をひとつ。
うつ伏せになった笑太君の横に腰を下ろし、
右手でその赤味がかった茶色い髪に触れる。
ちょっとクセのある柔らかい髪をふわりと撫で続けても、
笑太君の反応はナシ。
寝てはいなさそうなんだけど。
このまま何も聞かなくてもいいんだけどなんとなくすっきりしない。
唐突に、いじわるしたい気分になった。

「ねぇ笑太君。優しくしてもらいたいの?それとも放っておかれたいの?」

髪を撫で続ける僕の手の下で、びくっと笑太君の身体が揺れた。
そのまましばらく沈黙。
そして長く低い唸り声を上げた後、
「優しくして欲しい。。。かな」
と、小さな小さな声で答えがあって、
思わず笑ってしまった。
「笑うなよ」
顔はベッドに伏せたまま視線だけが上を見て、
不満そうに云う。
「笑ってないよ」
「笑ってるだろ」
その拗ねた子供みたいな口調にまた笑ってしまう。
「あは。これ地顔だよ」
「ウソつけ」
ウソつきは笑太君でしょ!とも云わないでいてあげる。

笑太君の横に寝そべって、その前髪を掻き上げてみたら、
今度はしっかり視線が合った。
真っ青な瞳に笑っている僕が映っていて、
笑太君も照れ臭そうに笑った。
大きな手で僕の髪にするっと触れてきて、
今度は優しくくちづけされた。
「やっぱり笑ってるじゃないか」
ぷーっと唇を尖らせて云う笑太君には
特刑総隊長の貫禄なんて微塵も無い。
どこか弱々しくて、可愛くて。
清濁全てを飲み込んで、
"御子柴笑太"として全部受け入れてあげる、
なんて気分になる。

だから今、笑太君がついているウソには気付いてないフリをしよう。
本当はとても気になるけれど。。。

はっと気付いたら笑太君は僕の身体の上に跨っていて、
静かに僕を見下ろしていた。
僕も静かに微笑んで、笑太君に向かって両手を伸ばした。


             ―To be continued―






P.S.
前作“Lies and Deals”の続編です。
清寿目線のあまあま〜な話で。。18禁ぢゃないですね(汗
でもこれは自分的にはかなりハード系のつもりで書いた
笑太目線の“Bitter ver.”に続くので、
あえてこっちに置いてみました。
タイトルはある小説から。。
それについてはDiaryで語ってみました。
そちらもよろしく。



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