― Signs of Inevitable Conclusion ―
  after"Night likes the end of the World"
 

いつも最初は接吻(くちづけ)から。
途切れた言葉を繋ぐように自然に、
柔らかい髪に触れながら。
激しくお互いを求め合うような、その時間が好きだ。
すっと伸びた首筋に唇を走らせて強く吸った時の、
少し非難めいた、溜息みたいな喘ぎ声も好きだ。
手から顔、そして首、身体。。。慈しむように触れていく。
徐々に熱を帯び、桜色に染まってゆくその肌の感触が好きだ。
そして、
俺の名前を呼ぶ、その切なげな声に熱くなる。

好き、でもなく。愛してる、でもなく。
このままで居たい。。。

終わる度、口癖のように告げられる
この言葉の真意は未だに分からない。
こんなに深く触れ合っているのに、それを認めてはいけないなんて、
お前が恐れているものは何なんだろう?
それとも何かを守ろうとしている。。。?

「好きだよ。。。清寿」
愛撫の途中で、耳元に囁いてみる。
驚いたように目を見開き、清寿は真直ぐに俺を見た。
「それは云わないでって云ったのに。。。!」
一番感じるところを玩ばれているので、語尾は喘ぎ声に変わる。
「なんで?ホントの事だよ」
それを聞いて清寿は眉を顰めた。
「始まってしまうから。。。」
快楽に翻弄されて、答えは途切れ途切れになる。
「始まったら終わりが来てしまうから。。。っ」
清寿は顎をちょっとだけ上に上げ、はぁ。。。と熱い息を吐き出した。
「俺のことキライ?」
嬲るように首筋や胸に唇を這わせながら、答えを強要する。
「キライだったらこんな事させない」
息を切らせながらも、清寿は少しむっとした感じで答えた。
「髪一本、触れさせやしない。。。!」
俺を見る、責めるような眼差し。
でもこんな瞳(め)も好きなんだ。。。
堪らなくなり、
はちきれそうになっていた俺の昂ぶりを、清寿の芯に埋め込む。
声にならない嗚咽を上げて、身体が大きく仰け反った。
清寿はいつも最初はツラそうで、
その少し苦しげな表情(かお)で俺は一気に昇りつめる。
「笑太君、ホントはっ」
その先が聞きたいという欲求が、頂点に達するのをセーブする。
「ホントは愛してるっ。愛してるよ。。。」

その言葉を聞いて満足し、俺は清寿の中で果てた。


いつもは気絶するように眠ってしまう清寿が、今日はそのまま起きていた。
繋がりも解かぬまま、俺の身体を離さずに。
「今までのままで居たかったのに。。。」
独白のような呟き。
「清寿。。。」
強く閉じられた目の端に溜まった涙を指で拭きとってやる。
「この感情を認めなければ。。。言葉にしなければ何も始まらなくて。
だから終わりも来なくって、ずっとこのままで居られるような気がして。。。」
俺の背中に回された両腕に、きゅっと力が籠もる。
「詭弁だとは解っていたけれど。それでも怖かったんだ。。。」
清寿の心の中の瑕(キズ)が、ぱくりと顔を覗かせる。
頬を包むように手を当てて上を向かせ、掬い上げるようにくちづけする。
「じゃあもう云わない。約束する。でも。。。」
俺は躊躇いつつも言葉にする。
「もう1回だけ云わせて。。。愛してるよ、清寿」
清寿は首を左右に振ってから悲しそうな顔で俺を見ただけで、
それ以上何も云わなかった。
ただお互いの鼓動を確かめ合うようにきつく抱き合ったまま。。。
そのまま、俺達は眠りに落ちていった。


――― またあの夢を見た。
     ただ静かで美しい景色の中で横たわっている。。。
     いつか来る、最後の日を予感させるような夢を。


                ― The end ―






P.S.
甘ぁ〜い話が書いてみたくなって(汗
相思相愛なんだけど距離感が違うというのが、
乾的DOLLSの基本設定。
表面的には笑太が攻ですが、精神的には受という
まぁそんな感じの話(笑
“Night likes the end of the World”という話の、
続編みたいになってます。


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