―Pitch Black Moon―


「んっ!んあぁっ!」
「だからさぁ。。。もう少し色っぽい声出して欲しいなぁ」
眉根を寄せて苦しそうな声を上げた御子柴を見下ろ
して、桜澤が溜め息混じりに云う。
「む、無理だって。まだ。。。慣れてない。。。」
呆れたような視線に耐えかねて、御子柴は顔を紅潮
させて言い訳めいた言葉を呟く。
「ふ〜ん。身体は慣れてきてると思うんだけどなぁ。。。
俺の形、覚えてきてるでしょ?嬉しそうに吸い付いてき
てるよ」
わざと乱暴に動かされて、御子柴の口から唸るような
喘ぎ声が漏れる。
「俺のが入ってるの、見える?」
「バ。。。バカっ!そんな恥ずかしいことばっか云うな」
視界は涙で曇っていて、桜澤の顔さえ満足に見えない。
「お前の中、スゴく気持ちイイ」
桜澤が腰を動かす度に聞こえる湿った、ぐちゅぐちゅと
いう音が御子柴の羞恥心を煽る。
「笑太は?気持ちよくないの?」
桜澤の先端が、御子柴の感じる点を探り出すように
責め続ける。
ある時は緩く。そして激しく。浅く、深く。
「ん。。。っ、んんっ。。。う。。。う。。。っ」
あまりに強烈な快感に、狂ってしまいそうだった。
「自分で、触ってごらん」
半ば理性が飛び始めた頃、耳元で甘く囁かれる。
その声に操られるように、御子柴は自分の茎を掴んだ。
反り返るほどに勃起したその先端からは、腹部まで糸
を引くほどに先走りが零れ出していた。
「。。。っ!触るな。。。っ!」
そのぬめりを掬い取って、桜澤の神経質な指先が御子柴
の茎と袋の間の敏感な部分を撫で上げる。
「イク時の声は可愛いのになぁ。。。う〜ん、残念」
桜澤は愛撫を止めようとせず、自身の茎を握り締めてい
る御子柴の指を引き離すと、ゆっくりと扱きだした。
「。。。止めろ。。。オカシクなるっ」
片手で身体を抱き上げられて、向かい合って座る体位
になった。
「んはぁっ。。。ぁああっ。。。」
自分の重みで落ちこんで桜澤を深く咥え込む格好とな
り、御子柴の背が大きく仰け反った。
「自分が気持ちイイように、動いてごらん」
柔らかい口調なのに、抗うことが出来ない。
甘い声と、御子柴自身を緩く扱き続ける指の感触に
全身が溶かされて、支配されてしまっている。
御子柴が悔しそうに唇を噛むと、それを解すように唇が
重なってきて、舌を絡め取られ、唾液が混ざり合う。
「ほら。動いて」
唇が開放されて、酸素を求めて喘ぐ御子柴の耳元で、
吐息のような声が命じる。
拒否することも抵抗することも出来ずに、快感を追うよ
うに腰を揺らす。御子柴の動きに合わせるように、桜澤
も律動を繰り返した。
「時生。。。っ」
「もうイキそう?」
薄い唇が嘲るように、くくっ、と笑って、囁くように云う。
「好きだよ。笑太」
からかうような桜澤の言葉に、御子柴はまた唇を噛んだ。
「ならもっと優しく。。。っ、こんなっ、勝手にしやがって!」
「そっか。。。」
桜澤の悲しそうな表情(かお)は、ぎゅっと目を閉じてい
る御子柴には見えていない。
「お前はどんな人をどんな風に愛するんだろうね。。。」
御子柴の身体を抱え直し、桜澤は最奥を突いた。
「はあぁんっ!」
中が擦られると切なくなって、御子柴は桜澤をきゅうきゅう
と締め付けてしまった。
「ね、笑太。後で掻き出してやるから、中で出させて」
「や。。。あ。。。あっ。。。」
「やだ?」
ぼうっとした顔で頭を左右に振る御子柴を見て、桜澤は
艶然と微笑む。
そしてゆっくりと、御子柴のしなやかな身体を撫で回し始
めた。
「綺麗な身体だ。。。」
表情こそうっとりと見惚れているように見えたが、桜澤の瞳
には感情というものが全く無かった。
「俺が死ぬ時はこの美しくて気高い身体に印を残してやろ
うか。。。一生消えない"印"を」
「時生?何云って。。。」
「お前しか俺を止められない。だから笑太、俺の命はお前
にやる」
「命って。。。?」
桜澤の虚ろな瞳の中を覗きこんでしまって、御子柴は云い
掛けた言葉の続きを飲み込んだ。
どこか壊れているような、歪な表情。
背筋にぞくぞくと悪い予感のようなものが走った。
「愛してるよ、笑太」
御子柴の身体を抱き締めて、桜澤は抽送を再開した。
「ん。。。んっ。。。う。。。っ、はああっ!」
激しく追い上げられて、すぐに御子柴は絶頂に達してしまう。
「ほら、やっぱり。イク時の声は可愛い」
桜澤も御子柴の中へ欲望を放った。

奥に叩きつけられる瞬間の高揚感が去った後、中に残さ
れた白濁が溢れ出してくるぬるぬるとした感じに慣れなくて、
御子柴は不快そうに身じろいだ。
甲斐甲斐しく後始末をしてくれている桜澤の手にもまだ慣
れなくて、何度も太い息を吐く。
腰が怠くて起き上がれずに足の指で毛布を引っ掛けて取り、
それにぐるんと全身包まってしまうまでの一部始終を、桜澤は
柔らかい笑みが浮かべて見守った。

「キレイで命令に忠実なただの人形から、ちゃんと感じる人間
にしてやったのに。。。なんでお前は俺を受け入れてくれない
んだろうね?」

穏やかな寝息を立て始めた御子柴を冷ややかに見下ろして
漏らした呟きは、夜闇に紛れて消えた。
夜明けまでは遠いのに、きっとまた眠れない。
歪んだガラス窓越しに、歪んだ月が見える。

桜澤はベッドの上に座ったまま、薄っぺらな感じのする月を、
ずっと、見上げていた。


―The end―






P.S.
5000HITを踏んでくださった
彰梨様に捧ぐ。。
本当のリクエストは違うんですが、
「是非桜御子を!」
というリクエストを他の方からも
なんとな〜くいただいていまして。。
「じゃ、この機会に!」
と書いてみました。
イタすぎる。。かな?
彰梨様、ごめんなさいっ


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