―We Wish Your Merry Christmas―


「だからさっ、お願いっ、て。。。」
「なんでだよ〜。そんなの1人でダイジョブだろ〜に」
「こういうの慣れてないからさ。。。このとおり!」
「いっつもエラそうにしてるクセにこういう時ばっかり頭
下げられてもね〜」
「。。。やっぱイイ性格してるよな。。。」
「じゃ、断っていい?俺だって忙しいんだけど」
「!それっ困る。。。スミマセン」
「で、お礼は?まさか何もナシじゃないよね?」
「ん。。。じゃ、清寿の手料理で!夕飯ご馳走する
ってのは?」
「う〜む。。。そうきたか。。。」
「。。。ねぇねぇ、笑太君、柏原班長、何の話して
るの?」
突然、前触れもなく会話に割って入ってきた式部の
顔を、御子柴と柏原は全身をぎくっ!と強張らせて
慌てて口を閉じ、焦った顔で同時に見上げた。
「清寿っ!気配殺して近付くなよ」
「気配なんて殺してないよ。普通に入ってきたけど
2人でこそこそ話してて気が付かなかったんじゃない」
式部は口を尖らせてそう云ってから、ふわりと笑った。
「で、何の話してたの?」
「い、いや。なんでもない」
式部の視線から目を逸らし、どもりながら御子柴
が答える。
「でも。。。僕の名前が出てたみたいだけど?何?」
表情を読ませないように斜め上を見上げた御子柴の
顔を覗き込むように背伸びして式部が追及する。
「ねぇ、柏原班長。何?」
PCの前に腰掛けたままの背中を丸めて笑いを噛み
殺していていた柏原は、いきなり矛先が向けられて、
んっ!と息を詰まらせてムセこんだ。
御子柴を見上げ、柏原を見下ろし、式部は訝しそう
な表情で首を傾げた。
「班長、うちにごはん食べに来るの?」
「っ!お前、一体どこから聞いて。。。っ!」
「僕の手料理がど〜のこ〜の、ってとこからだよ」
御子柴の視線をがっしり捉えて式部が微笑む。
動揺を隠し切れずに御子柴の視線泳ぐ。
「今夜、柏原も連れてきたいんだけど、いい?」
え?!という表情で柏原は御子柴を見上げたが、
咳こんでいたのが止んだばかりで息が切れていて声が
出ない。
「いいけど。2人でどこか寄ってから来るの?」
「うん。ちょっとな」
御子柴がわざとらしい笑顔を浮かべて頷きながら柏原
の肩に腕を回して、なっ!と助け舟を求めるような感じ
で反対側の肩をぽんぽんと叩いた。
「そう。ちょっと買物?」
「僕も一緒に行く。。。のはだめなの?」
2人が、困ったな。。。という表情で顔を見合わせたの
を見て、式部は人差し指を折って唇に当てた。
「なんかアヤシイ。。。」
「なんでもないって!」
「なんでもないにしては焦りすぎだって、笑太君」
返す言葉を見付けられずにいる御子柴を見て、
式部は思わず笑ってしまった。
「ま、いっか。これ以上は訊かないでおいてあげる!」
全身から空気が抜けたみたいに溜め息をついた
様子が可笑しくて、式部はもう一度目を細めた。
「柏原班長、何食べたい?」
「う〜んと。。。温かくて美味しいもの」
ほわんとした笑みを浮かべてそう答えた柏原を見て、
式部が大きな吐息を吐いた。
「本っ当に男の人ってしょうがないよね。リクエスト無
いなら適当に作っちゃうけど。いいよね?」
じゃ先に帰ってるから、と式部が踵を返して諜報課
一班の部屋を出ていった直後、御子柴と柏原の肩
からほーっと力が抜けた。
「。。。すまない」
「ホントだよ。俺まで焦っちゃったじゃない」
「悪い。でも助かるよ」
「っんとにも〜。。。じゃあ行くかぁ?」
頬を膨らませて、呆れた顔でふぅ。。。と息をひとつ
吐いてから、怠そうに柏原は立ち上がった。

「。。。?何、これ?」
式部の料理が出来上がった頃、御子柴と柏原が
ちょっとした大きさの箱と、大きなペーパーバッグ下
げてやってきた。
箱の方をリビングのテーブルの上に置き、にやっ、と
笑って、御子柴が答える。
「こっち、開けてみ」
式部は不思議そうな表情でキラキラしているラッピ
ングを丁寧に剥がし取り、箱を開けてみた。
「あ。。。クリスマスツリー」
高さ1mくらいの、白い枝を広げたクリスマスツリーが
中から現れた。青系の色で統一されたオーナメントと
モールがついていて、ちょっと大人っぽい雰囲気だ。
「これ、貰っていいの?」
「ここ殺風景だからさ、この前から買ってこようとは思
ってたんだけど、遅くなっちまって」
照れた顔で頷く御子柴を見て、式部の顔に笑みが
弾ける。
「まだクリスマス前だから遅くないよ。ありがと」
大事そうに抱えて、水槽の前に置く。
「そこに置くのか。。。?」
「うん。ここならこの部屋のどこからでも見えるもん。
ベッドからだって見えるよ」
ツリーの前にしゃがみ込んで、満足そうな笑みを浮か
べて振り返った式部を見て、柏原の頬まで赤くなる。
「あと、これ」
御子柴は柏原から受け取ったペーパーバッグを一旦
式部の前に差し出したが、思い直したように、それ
を受け取ろうと伸ばされた腕からすっとかわした。
「。。。?」
「これはさ、すぐ開けないで」
「。。。もしかしてクリスマスプレゼント?」
青い目がくるっと見開かれて、式部を見詰める。
式部は紫の瞳を細めて、嬉しそうに微笑む。
「この流れから云ったらそうでしょ?違う?」
ぷーっ、と柏原が噴き出して、声を上げて腹を抱えて
笑い出す。
その後頭部を、顔を真っ赤に紅潮させながら横目で
睨み付けてから、御子柴は式部へ視線を戻した。
「イブになるまで開けるなよ」
少し困ったような、照れたような顔と、ぶっきらぼうな
口調が可笑しくて、式部はペーパーバッグを受け取
るついでに御子柴の指に自分の指を絡ませて、熱を
持っている頬に、ちゅっ、と軽くくちづけをした。
「なんか。。。やっぱ俺、おジャマだよね?」
落ち着かない様子で天井を見上げて呟いた柏原に、
式部は微笑みを投げ掛けた。
「忙しいのに。。。笑太君の買い物に付き合ってもら
っちゃってすみません」
指を解き、御子柴から身体を離しながら、柏原の
方へ向き直って軽く頭を下げる。
「お礼が僕の作ったごはんなんて申し訳ないけど」
「やっ、そんな!温かい手料理を食べさせてもらえる
だけで嬉しいかな、っと」
「いっつもファーストフードかコンビニ飯ばかりだからな」
「っさいな!時間無いんだからしょうがないだろ?!
いつも美味しい手料理作ってもらって鼻の下伸ばし
て食べてるヤツに云われると無性に腹立つんだケド」
「鼻の下伸ばして、は余計だろ?」
額と額と突き合せて睨み会う御子柴と柏原を見て、
式部が失笑を漏らす。
「いいなぁ。。。仲良くて」
へ?!、と、額をくっつけたまま顔をぐりんと回して同時
に横を向いた御子柴と柏原は、式部の柔らかくて綺麗
な微笑みに脱力して、つい笑ってしまった。
「今日のめし、何?」
「3人居るから鍋にしちゃった。柏原班長、鍋嫌い?」
「鍋か!いいねぇ。外寒かったし」
「なぁ、何鍋?」
「笑太君、テーブルに運ぶのお願いしていい?」
「あ、俺手伝うよ」
「じゃあ柏原班長にお願いしちゃお」
「すっごいいいニオイしてるんだけど」
「キムチ鍋にしたよ。笑太君、好きでしょ?」
「あ〜好き好き」
「やっぱ俺、おジャマ?」
「そんなことないって。鍋はみんなでやった方が楽しい
でしょ?沢山準備したから、いっぱい食べてね」
キッチンへ行く式部の後ろ姿を見送りながらこっそりと、
柏原が御子柴の耳へ小声で囁いた。
「ソウタイチョ不器用だね。こういうことに関しては器用
じゃないんじゃないかって思ってたけどさっ」
「っさいな!」
「かっわいい〜♪」
「またぁ。。。何2人でこそこそ話してるの?」
「いや、なんでもないよ」
「笑太君と柏原班長って本当に仲いいよね。羨ましい」
「ハハハ。。。副隊長にはそう見えるんだ。。。」
「ん〜。。。」
「それより、ね、早く鍋の準備、手伝って」
「了解〜」
「分かったよ。あ〜ハラ減ったぁ〜」


―The end―
 





P.S.
なんかこの3人って仲良さそう。。
一応一番年上の柏原がお兄さん格?
恋愛には不器用な笑太が描いてみたくて
書いたら、こんな話になりました。。
笑太から清寿へのクリスマスプレゼントは。。
さて何でしょう?
クリスマスになる頃UPする話の中で(^-^*


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