―Similar But Different…―


どきどき、する。
その日最初に触れられる時、肌にかかる息を感じた時は
どきどきする。
足を開かされて、腿の間に笑太君の身体が入ってくる時
いつも、どきどきする。

「保井さんったらね、“いつまでもラブラブでいいな”って云う
んだよ」
「お前さぁ。。。そういう事、あんま他人(ひと)には云うなよ」
呆れたように云う笑太君を見て、笑ってしまう。
「保井さんにしか云ってないよ」
横を向いてしまった顔に浮かんでいた複雑な表情が気に
なって覗きこむようにしたら、今度は反対側に顔が向いて
しまった。
「笑太君。。。?」
「あのさぁ、保井さんにそんな話したら俺が射撃訓練場に
行きづらくなるだろ?。。。って云うか、保井さんとそんな話、
いつしたんだよ?」
頬を赤く染めて云うその表情(かお)が可愛くて、意味あり
げに含み笑いをしてみせる。
「ピロートーク」
「え?。。。」
「。。。なんてね♪」
からかわれたのに気付いて、笑太君の顔が更に紅潮する。
「でも話したのは事実(ほんとう)だよ。久々に射撃練習に
行ったら保井さんが、“最近御子柴とは上手くいってるのか?”
って訊いてきたから」
僕はベッドに横になってごろごろしていて、笑太君は窓に背
を向けるようにベッドの上に腰掛けていて、膝の上にPCを置
き、何か書類を作っていた。
「だからってさ。。。そんな話することないだろ?」
下から見上げているから、前髪もその表情を隠せない。
「笑太君。。。ヤキモチ?」
「ちっ、ちがっ。。。!」
耳の先まで真っ赤っかにして全力で否定しようとした笑太君
の言葉を、途中で遮ってみる。
「なんでだめなの?笑太君は保井さんには何でも話してる
じゃない?たまには僕だって話したいって思っちゃだめなの?」
言葉を詰まらせて、青い目が冷静に僕を見下ろす。
「だって本当にどきどきするんだもん」
その瞳を真直ぐ見詰め返す。
「今こうやって話していても、どきどきしてるんだよ」
膝の上からPCを下ろし、微笑んだ僕の頭を抱き寄せるように
して、唇が下りてくる。
その唇を先に捉えて、啄ばむようにくちづけをする。
「それってさ、緊張するってこと?」
ホクロのある方の口元をちょっとだけ上げて笑太君が訊いてき
たけれど。。。多分違う、と、思う。
上手く説明出来ないから、頭を左右に強く振る。
「あ、バカ。髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうだろ」
器用な指遣いで絡みそうになった僕の髪を梳いてくれる。
そうやって触れられる度に、またどきどきする。
何度抱かれても。何回も抱かれた後でも。
目を閉じて深呼吸していると真横でベッドが軋む音がして、
笑太君が覆い被さってくる気配がした。
片方の頬に熱い息が掛かり、唇を重ね合わされる。
舌を絡まされ、呼吸することも、唾を飲み込むことも許されない
ほど深いくちづけをされながら、唯一身に付けていたバスローブ
を脱がされる。
僕も笑太君を裸にしていく。
どきどきしている。
心臓が破裂してしまいそうなほど、どきどき、してる。。。
「ほら、ここで、お前の鼓動が分かる」
唇を離れて首筋から胸元に滑り落ちた笑太君の唇が、乳首に
触れた。
「ぁあ。。。っ」
口中に含まれて転がされ吸われると、目の前が真っ白になった。
「あ、こら。1人でイクな」
一気に上りつめそうになってしまったらしい。
「あ。。。あれ。。。?ごめん。。。」
笑太君が鼻から息を吐いて、苦笑した。
「清寿、お前どきどきしすぎ」
「ホントだね」
情けなくて、力なく笑って返す。
「まだ慣れない?」
「抱かれるのに?」
「そう」
耳元で吐息混じりに云われて、またどきどきする。
「そんなことない。。。と思う。イヤじゃないから」
「そうだよな。乳首だけでイケるくらいになったんだから」
「も〜。。。笑太君のえっち」
顔を見合わせて笑った後、強く抱き寄せられた。
「俺もどきどきしてる」
左胸に押し付けられた耳から、激しい鼓動が聴こえてくる。
「うん。聴こえる」
顔を上げて、目の前にある傷痕に唇で触れる。
笑太君の全身が一瞬びくんっ、と強張って、次の瞬間緊張が
解かれて吐息に変わる。
「まだ慣れないの?。。。触られるのに」
引き攣れて硬くなった左肩の傷痕に触れる度にいつも同じ反応
が返ってくる。
「ん。そりゃあ。。。ここはお前だけにしか触らせてないから。。。さ」
その言葉が本当だって信じられるのはこの時で、幸せすぎて、
どきどきするのが止まらない。
笑太君は僕の顔を見て軽く笑うと、自分の昂ったものと僕のを
束ねて両手で掴み、捏ねるように擦りだした。
「んっ。。。あぁっんっ。。。蕩けちゃいそうだよ。。。」
いっそ溶け合ってひとつになって、ずっと一緒に居れたらいいのに。。。
そう思うと、気持ちいいのに切なくて、じわっと涙が滲んだ。
「笑太君。。。す。。。」
「あ、待て」
呟いてしまいそうになった言葉を遮られてしまった。
「今日は俺が先に云うから。云っちゃだめ」
「。。。?なんで?」
「どうしても」
膝の裏を持に上げられて両足をもっと開かされて、2人の先走り
で濡れた笑太君の先端が当てがわれた。
「力抜いて」
中に熱の固まりが押し込まれてきて、識り尽くされている快感の
点を責めるように抜き挿しされる。
「あっ。。。はぁ。。。んっ。。。んっ。。。」
喘がされて、零れてしまいそうになる言葉を一生懸命飲み込む。

「清寿。。。」

絶頂に達しそうになったその時に、笑太君が呼ぶ。
目を開けると潤んで霞んだ視界の先に、微笑んでいる笑太君の
顔がぼんやりと見えた。
ゆっくりと唇が近付いてきて、耳朶に触れる。
そして、僕がいつでも一番欲しくて、でも欲しいって自分からは
云い出せないでいる言葉を囁いて、離れていく。
心臓が苦しくなるくらい、動悸が激しくなった。
涙が溢れて、何も見えない。
「。。。あぁっ!」
同時に達して、お互いの身体を抱き締め合う。
鼓動が同調して触れ合っている皮膚の感覚が曖昧になり、本当
に溶け合ってしまったみたいだ。。。
「また泣く。。。最近泣き過ぎだぞ」
「うん。ごめん」
笑太君の肩から顔が上げられない。
「謝るこたぁないけどさ」
「うん。。。ありがと」

どきどき、する。
僕が笑太君を好きで、笑太君が僕を好きでいてくれる間はきっと、
一緒に居る時はいつも、ず〜っとどきどきしている。。。と思う。

隣から寝息が聞こえ出した。
逞しく見えて実は優しすぎて脆い男(ひと)。。。
漠然とした不安を感じて、どきどきしてしまう事がある。

水槽の中で水泡が生まれて壊れる音がする。

目を閉じたまま寄り添って、規則正しい呼吸(いき)の音を聴き続
けていた。


―The end―






P.S.
本編がず〜っと第二がメインの話で
第一見れなくて寂しいな。。
と、思っていたら降りてきた話。
保井さんにノロケてる清寿って
可愛いんだろうなぁ。。
なんて萌えつつ(笑
書いてました。


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